2001年度後期後半キャンペーン

「StarlightRhapsody」



エピローグ 小夜曲“ユグドラシル”〜星空の帳〜



 ソルマことリスティ・ガレスピー、ステラフォース情報少尉は、今回の働きを評価され、死なずして2階級特進となった。彼は廃人になってもおかしくない量のドラッグを打ったにもかかわらず、幸いなことに妙な副作用を受けることはなかった。ジェスティンは別のドラッグを試す機会ができると喜んでいるとか、いないとか。屈折した愛情表現だとソルマは呟く。

 また、ジェスティンもジャスティも1階級昇進となり、階級は3人そろって大尉となった。だがそれは、ソルマをさらに過酷な任地へと送るための布石でもあった。そしてフリードの元を去った。新たな任務が彼を待っているのだ。

 ソルマは新たな任務先に赴く前に、ある女性の元を探し訪ねた。その女性の名は、ユミル・エルマル、ラシュロンとは妹背の君である。しかし、彼女はラシュロンの死を知らない。病床でずっと彼の帰りを待っている、いつものようにひょっこりやってくると。ソルマは人知れず彼女の元に、ラシュロンの遺品を届けた。彼女は如何にその現実を捉らえるかソルマにはわからない。彼女が強く生きていくことを祈り、星明かりが照らす街の雑踏へと静かに立ち去っていった。



 フリードは二人、星空を眺めていた。彼の隣には桂の姿がある。
「ねぇ、不思議だよね……こんなに綺麗な星空にだよ、いろんな世界がいっぱい広がっているって……」
「そうだね、どこまでも広がっている……不思議だね」
 桂はフリードの瞳を見つめ、囁くように言う。「信じられる? こうして二人が出会ったって……運命なのかな?」
「そうだね。この広い宇宙で出会えた二人だよね」フリードは桂の星空のように澄んだ瞳を見つめ、そう答えた。
 静かに流れる時間。そのとき、
「あっ! 流れ星っ!」
 不意に流れ星が夜空をよぎった。
 フリードは何をお願いしたのと訊ねる。だが、桂の答えは微笑みながら「ひ・み・つ」と。すべてはフリードへのその笑顔が物語っていた。
 星明かりの下で、睦まじく互いに見つめ合う二人。心地よい夜風に乗って遠くから「孫をやるにはまだ早すぎる!」という声が聞こえた……。



 メッテルニッヒの野望をうち砕き、世界の危機を救ったアッシタリュド宇宙商会。だが、残った社員は司馬とニシカワのみ。扇の要のラシュロンを失った痛手は大きすぎた。聞くところによると、オックスフォード教授は今回の事件を書き下ろし、その印税で稼いだお金でさらなる遺跡の調査を行なっているとのこと。だが、フリードは莫大な借金を抱えたまま……。所帯を持つにも資金が必要。いつかの日か偉大なトラコンとなることを夢見るフリードの苦難まだまだ続く。



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