第1話:不思議少女登場。
なし崩し的に調査に向かうの巻

 PC達(キール除く)は、ガリオン−アガリア間の行商人の護衛の仕事を無事終え、アガリアへと到着。依頼主の覚えもよく、それなりの報酬をもらうことが出来た。
 一仕事終え、そろそろジンをギルド登録しようと考えたヨセフは、ジンを連れてギルドへと向かうことに。セラフィーは孤児院に挨拶に行き師匠のアカシヤの元へと向かい、ギルドにあまり近寄りたくないマグラは夕飯の買出しに向かった。

 ジンのギルド登録がつつがなく終わったところで、受付からヨセフ指名の依頼が届いていることを聞く。依頼主は学術団体“アトラス”。内容は新しく発見された遺跡の調査の護衛、とのこと。ロステク絡みの仕事ということで、ヨセフはこの依頼を引き受けることにした。
 しばらく待つと、キールともう1人、アトラスの学者・フランコ=ルーシーがやってきて、今回の調査の内容について教えてくれた。

 話によると、新しく見つかった遺跡はアガリアから南西に3日ほど行ったあたりの砂漠内で見つかったとのこと。
 発見したはいいがその時点で充分な食料がなかったため、まだ内部は調査されていないので、先遣隊を派遣して内部の様子を調査することになったらしい。PC達にはその護衛を頼んだというわけである。

 他のメンバーにも確認を取り、準備ができ次第出発しようということで話がまとまった辺りで、ギルドの扉が勢いよく開かれた。入ってきたのはギルドの雰囲気に似つかわしくない黒髪ロングの女の子。
 彼女は扉の辺りでキョロキョロと辺りを見回し、PC達のほうを見るとズンズンと近づいてくる。そのままジンの目の前まで来ると突然肩をつかんで、
「やっと見つけたわ!さぁ、戻りましょう!」
と騒ぎ出す。わけの分からないジン。もちろん面識のない少女である。
 少女はなおも「あなたを探していたの。戻りましょう。」と言い続ける。

 キールやヨセフが「君は誰なのか?どこから来たのか?どこに戻るのか?」などを尋ねると、自分の名前はアリシアであることは覚えているが、それ以外はなぜか思い出せないと言い出す。アリシアも思い出せないことに困惑し、そのまま気を失ってしまう。
 事態がさっぱり分からないが、ジンの失われた記憶に関係があるのかもしれないと思い、とりあえずヨセフの屋敷に連れ帰ることになった。

 その帰り道で、孤児院での挨拶を済ませたセラフィーと、買い物を済ませたマグラが合流する。セラフィーはジンが見知らぬ少女をおぶっているのを見て少なからずショックを受ける。ある程度事情を聞いて、なにはともあれヨセフの屋敷へと向かうことに。

 ヨセフの屋敷についてしばらくすると、アリシアは意識を取り戻す。落ち着いた彼女から話を聞くと、彼女は1ヶ月ほど前からジンを探して旅をしていたとのこと。
 自分がどこから来たのか、ジンをどこへ連れ戻すのかは覚えていない。彼女はジンの名前も知らなかったがジンが探していた人に間違いないらしい。

 彼女はジンと一緒にいれば何か思い出すかもしれないから一緒にいさせてくれ、と頼み込んでくる。セラフィーだけは不満げな顔をしていたが、強い反対がなかったのでアリシアはPC達に同行することを許可された。
 「とりあえず何が出来るんだ?」という質問に「料理とかなら」と答えるアリシア。セラフィーが料理をしに行くとアリシアも手伝いに行き、ここで料理対決(セラフィー主観)が勃発する。が、悲しいかなアリシアの料理のほうが好評であった。

 次の日、各自が出発の準備を整えることに。

 ヨセフとマグラはアリシアの腕前を見るために射撃場へと連れて行った。アリシアは、護身用拳銃を2発撃って2発とも当てるというなかなかの腕前を見せる。それを見て、これならいいだろうと思うヨセフと、少しおびえるマグラであった。

 砂漠の情報を集めていたキールは、最近「砂龍」と呼ばれるモンスターが頻繁に目撃されているということを聞く。
※砂龍:全長50〜数百mの巨大な龍。目撃例には数kmにも及ぶ固体も存在する。砂の中に生息し時折地表に姿を現す。その生態、行動原理は不明であるが人間も襲う。

 アカシヤと装甲車両(PC達が所有している車両)の換装作業をしているセラフィーのもとを尋ねたジンは、アカシヤの計らいでセラフィーと昼食を取ることになった。2人で昼食を食べているときセラフィーが切り出す。
「ジン、アリシアについてどう思う?」
 ジンの「よく分からない」という返事に微妙な心境のセラフィー。そこへ突然アリシアが入店してくる。アリシアはまっすぐにジンたちの席へと来ると、
「ジンもいたんだ。一緒にご飯食べてもいいかな?」
 ジンたちはほとんど食べ終わっていたが、追い返すわけにもいかず、セラフィーはデザートを頼んで一緒に食べることになった。

 昼食後、工房へと帰るセラフィー。そこにはアカシヤのほかにヨセフとマグラが来ていた。ひどく気落ちしているセラフィーに休むように勧めるが、気丈に働き続けるセラフィーであった。


 翌日、準備も整い出発しようとしたところで1台の車がやってくるのが見える。それはマイトレイアスの車であった。降りてきたマイトは、自分も弟子を持つことになったと言って、弟子を紹介してくれる。
 車から降りてきたのはショートカットの女の子である。名はミリアというらしいがそっけない態度である。マイトが
「悪いな。こいつ、人付き合いが苦手でよ」
というとミリアは、
「ボクは・・・馴れ合いが嫌いなだけです。」
との返事。(PL一同絶句)
 そして彼らはそのまま去っていった。

 なにはともあれ、遺跡へと出発するPC達。その空には黒の月が不気味に浮かんでいるのだった…。

第2話へつづく



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