第二回

1.平穏な日々
 ローマとの同盟後、カルタゴ軍はシチリア島西部へと撤退。双方にらみ合いのまま、一時的に休戦状態となる。

 時間を得たプルトニオスらは次なる戦いに向け海軍の強化のため、ガレー船レースを開催したり、カルタゴの植民地であるイベリア半島に行って象を2頭買ったりした。

 そうこうするうちに、一年の月日が流れ、シチリア島にはまたも、動乱の気配が立ち込めてきたのである。

2.開戦
 農閑期となり、いよいよカルタゴのとの戦いが再開されることなった。兵力は、シラクサ、ローマとも、それぞれ陸軍1万、海軍5千程。一方、カルタゴは、陸海合わせて3万程であり既存戦力は拮抗しているが、マルタ島やサルディーニャ島に本国からの海軍兵力が集結しているとのことである。さらに、近海には私掠船も派遣され略奪行為を行わせているのである。

 これらを鑑み、作戦としては、ローマ軍がシチリア北部を進軍しチェファールを攻め、シラクサ軍は南部を進軍してリカータを攻略、最終的には2軍で合流しパレルモを落とすという、迅速な同時攻略作戦をとることにした。

3.リカータ攻略戦
 川の河口に位置するリカータは、船が行きかい商人達が出入りする活気あふれる町である。だが、現在は城門が閉じられ、兵士達が篭城の準備をすすめていた。敵の守り手は隻眼の猛将ゴーフル。プルトニオスがカルタゴに密猟に行った際に右目を切り落としたという因縁浅からぬ相手である。

 完全に守りに入っているリカータ守備軍だったが、アナクゼオンの策により野戦に持ち込むことに成功。ゴーフルをあと一息というところまで追い詰めるも、やつはおとりの策を使って逃走する。そのゴーフルとは思えないあまりの手際のよさに怪訝に感じるPCだったが、とりあえずリカータを占領することにする。

4.「死神」の影
 リカータで話を聞いていると、カルタゴ軍には「死神」とよばれるアフリカ出身の黒人部隊がいることがわかる。彼らは、ほかの部隊とは近寄らないようにし、祝福された赤い土というものを持ちあるいているらしい。また、沸かした湯しか飲まず、さらに奇妙なことにリカータでは川の水を飲んだ人間が原因不明の病気にかかっているというのだ。

 つまり「死神」は、川を汚染し疫病を 撒き散らすBC兵器部隊だったのだ!

 あまりのありえなさにとまどっているとパレオスというエジプト商人が接触をとってくる。アナクゼオンの知り合いらしいが、彼によると、現在エジプトではアナクゼオンの政敵であった神官が力を持ってきており、商売がやりにくくなっているとのことである。エジプトはシラクサ同様小麦の輸出が主産業なのでPC達とは商売敵でもある。が、そんな遠くのことよりも、今は目の前の「死神」が問題だ。

 とりあえずエレオノスが北の山間部を捜索していると、山道で木の上に隠れていた「死神」に襲われる。一瞬で護衛の兵が殺されるが、なんとか話し合いに持ち込んだところ、彼らの台詞がすごい。

「我々は神の『祝福』を与えているだけだ。我々は幼いころから『祝福』に慣らされえているから大丈夫なのだ。」
「我々は単に出稼ぎに来ているだけで金次第で動く。なに、もしカルタゴが我らの村を攻めても問題ない、やつらは我らの村では『祝福』が強すぎて生きていけんよ。」
「我らの隠形は完璧だ、見つかる心配などない。」

 想像以上のありえなさだったが、エレオノスとは同郷ということもあり、味方につけることに成功。ここで、PC達は彼らをエジプトに送り込んで、病気を広めるという非道な作戦を考え、実行に移す。なんて人達だ。

 そうして、ていよく厄介払いをしたところでローマ軍から伝令が入る。

「当方苦戦セリ、援軍求ム。」

5.進軍  
 なんと北に進軍していたローマの軍の船が嵐で全滅。さらに陸戦においても、イベリアにいるはずの大将軍ハミルカル・バルカが象兵100騎とともにやってきて指揮をとっており大苦戦だそうである。ゴーフルの手際のよさも、ハミルカルが策を授けたと考えれば納得がいく。

 だが、ここでPC達はこれを好機として、ローマにはアナクゼオン率いる1部隊のみを援軍に向かわせ、主力はチェファール以外の諸都市を占領しに向かうことにした。

 援軍に向かったアナクゼオンは、軽装備の部隊を使ったおとり作戦で象を落とし穴に落としなんとか攻略。その隙にプルトニオスらは順調に進軍して行った。 そして、カルタゴ領第2の都市マルサラの目前まで来たところで、ちょっとした事件がおきた。近くの浅瀬で西方の大国シリアの船が難破していたのだ。

 救助して話を聞いてみると、なんとこの船は西方の大国セレウコス朝シリアの姫アンティアの乗船だったのだ。彼女はカルタゴのハンノン家に政略結婚として嫁ぐ途中だったそうだが、カルタゴの私掠船に襲われ、現在はサルディーニャ島に捕らえられているとのこと。

 なぜ、カルタゴに行く姫をカルタゴ船が襲うのかというと、どうもカルタゴは本国中心のハンノン派とイベリア半島を主とするバルカ派に分かれているらしい。彼女はハンノン家に嫁ぐ途中バルカ家の私掠船に襲われたようである。

 ここでプルトニオスは、大国の姫に目を輝かせて、サルディーニャ島に乗り込み救出するという決定を下す。その前に目前のマルサラ攻略を急がせ、エレオノスが独りで潜入し、美人の計によりマルサラ防衛の大将を暗殺、一気にマルサラを攻略する。そして、捕らえた敵将の一人をバルトロマイオスらが味方に引き込み、彼を使って、小数でサルディーニャ島に乗り込んで、まんまと姫を救い出すことに成功する。

 が、この姫も曲者で、17歳というから純情な美少女を期待していたら、

「どうじゃ、プルトニオスとやら。セレウコスの名は欲しくはないか?」

 ときたものである。クールだ…。

6.マルサラ攻防戦
 プルトニオスらが姫の救出に向かっている間に、パレルモに引いていたハミルカル将軍がマルサラをとりかえすために全軍を投入してきた。王の不在に苦戦するシラクサ軍だったが、アナクゼオンの策もあり、なんとか時間稼ぎに成功。戻ってきたプルトニオスとともに反撃に出る。

 とはいえ、さすがにカルタゴ一の将とうたわれるハミルカル将軍はすさまじく強く、堅牢なマルサラの城塞にこもって戦っても、劣勢は否めなかった。しかし、篭城して数日するとローマからの伝令が来る。ハミルカル不在の隙にパレルモを落とした、全力でそちらに救援に向かう、と。

 この報により意気の上がった自軍は、果敢にも撃って出たところ、次第に押し始め、なんと敵軍を壊滅させ、ハミルカルを捕らえてしまったのである。まあ、勝因はダイス目であるが。

 その後、捕えたハミルカルを処断はせず、度量の広さを見せるため(おお、珍しく三国志っぽい事を!)礼を尽くしてカルタゴ本国に送り返すことに決定。カルタゴ本国は政敵が多いから、まず再起はできないだろうという考えの上である。

 また、シリアの姫アンティアはシラクサにとどまり、プルトニオスとの婚儀を行うことになった。シリアとの同盟に利はあるが、いざとなったら平気で裏切りそうな姫なので少々厄介である。

 こうして、北にローマ領を少し残してはいるが、シチリア島は、シラクサの王プルトニオスの下に統一がなされたのである。


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