SF大会イベントレポート

SF大会イベント
「アナログゲームを遊ぼう!」レポート

文責:PAC

1.SF大会に行ってみたいねぇ

 去る8/18・19に千葉の幕張メッセで日本SF大会が開催されました。今回で第40回と節目の大会ということでかなり大きな規模での開催です。そしてこのSF大会では初めてであろうTRPGのイベント「アナログゲームを遊ぼう!」という24時間企画が行われました。

 今回のこの企画は現在のところ唯一のTRPG総合雑誌である「TRPGサプリ」の版元アトリエサード(以下サード)さんの主催で行われました。OBのまりおんくんがサードさんと個人的に繋がりがあることから、明之介さん・PAC・ぴろき・T.Minori・いつきの五人でイベントのお手伝いをするボランティアとして参加させて頂きました(まりおんくんは仕事の都合で残念ながら不参加)。個人的な理由としては、前からSF大会には行ってみたかったこと、こういう大きな規模のRPG関係のイベントに参加してみたかったこと、そして就職の面接のついでに行けるので電車賃が浮くという話は大きな声では言えないが小さな声では聞こえない、というところでしょうか。

2.前日(8/17)の準備

 さて、まともに宿泊費を出せるわけでもない京都在住の筆者は同じ非東京在住者の明之介さんとぴろきを巻き込んで、サードさんの事務所で前日の準備の手伝いをしてついでに宿泊費も浮かせてしまおうということに。さらに今回のボランティアでは交通費が出るわけではないので、PAC・明之介・ぴろきの3人は青春18切符で9時間かけて電車でGO!。就職活動等でこの夏4度目の東京行きである私にはいい加減飽き飽きの旅だったり。尚、在東京のT.Minori・いつきの二人は勤労青年なので前日準備は不参加で当日からの参加(の予定でしたが後述)。

 そして夕刻JR高田馬場駅に到着。サードさんから迎えを出してもらうというVIP待遇で早速アトリエサード本社に向かいました。事務所内は良く言えばおもちゃ箱をひっくり返したかのごとし、悪く言えば汚い、という感じで(個人的な)期待は裏切らない感じ。本棚にはなかなかマニアックな本がゾロゾロと。個人的にはなんでBig Eyes, Small MouthなどいうダメRPGが置いてあるんじゃ?などと思ったりも。

 到着した我々は社員の方々への挨拶も早々にとりあえずは我々でもできる単純作業をすることに。ヴァンパイアやワーウルフなどのサードさんの出版物の表紙の美麗な打ち出しを額に合わせて切ったりはめ込んだりなどの作業を。失敗したらウン万円飛びますなー、などという恐ろしい話を聞きつつ、問題なく終了(実はかなりほっとした)。またこの作業の間にサードの社員の方から「VBA組めませんか?」と聞かれ、一人だけできそうな人間を思いつく。そう、今日は来ないはずのT.Minoriの職業はSEなのだ。携帯電話で呼び出すとなんとちょうど会社から帰ってきたところらしい。そしてVBAを使えるとのことなので、T.Minoriも前日準備を手伝うことに相成りました。

 そしてT.Minoriが来てTさんからプログラムの仕様を聞き終わったころに、注文していた弁当(タダ)を食べてからさらに色々と作業を行うことに。ぴろきがSF大会本体から頼まれている3択系クイズをTRPGジャンルから適当に作成、T.Minoriはヴァンパイアのライブ・アクション・ロールプレイ(LARP)で使われるVBAプログラミング、明之介さんと私はウォーハンマーファンタジーバトルで使うフィギュアの彩色、という作業をやることになりました。ぴろきとT.Minoriはなかなか苦労していたようですが、明之介さんと私はのん気にリザードマンやら馬やら騎士やらの色塗りをしておりました。このとき、明日の企画の準備に訪れていたトイ・インターナショナルの岡田さんと楯野さんも、彩色作業をやっておられました。素人同然の我々とは違いガンダムやボトムズのフィギュアの彩色で慣れているらしくさすがの腕前。岡田さんは彩色しながらクイズ作成の話を聞いてやたらマニアックなGURPSネタのクイズを話しておられました。半分くらいしかわかんなかったですが。しかし私の彩色した黒死病に冒されたような酷い彩色のリザードマンが果たして使われたのかは謎です。

 そして早朝、あたかも修学旅行の2日目のごとく、私とT.Minoriは完全徹夜(明之介さんとぴろきは寝てました)で会場へと向かうことになりました。

3.1日目

 JR高田馬場駅から山手線・京葉線(東京駅での乗り換えは強烈!)を使い1時間弱で海浜幕張駅に到着。この間、会場に入るために同行してもらったサードの方と今回のイベントまでの苦労話や最近の国内外のRPGの動向などの話をつらつらと。そして前日会社の飲み会で夜中まで飲んでいたにもかかわらず、先に来て待っていたいつきと無事に合流。社会人の鏡ですな。

 イベント会場の展示ホール(SF大会自体は会議場と展示ホール一つ分の両方で行われ、「アナログゲームを遊ぼう!」は展示場の方で行われた)は公立高校の体育館くらいの大きさがあり、そこでRPG卓12卓分が確保されておりました。しかし他のイベントの明確な仕切りが一切ないので卓上ゲームをやるには少々不利な環境といった感じ。映像使用型のイベント使われる大スクリーン、食堂スペース、そして、24時間連続アニソンカラオケのそばだったのは、あんまりいい待遇受けてないと思うことしきり。長机や椅子を配置したり、物販スペースの棚などを組み上げるのを手伝いながら、何となく夢想しておりました。ボランティアスタッフということで、ゲームのプレイヤー募集で人数が足りなければできるだけ参加して欲しいとの依頼があり、ある程度様子見しながら見ていきましょうかねぇ、などとRPG研メンバーで話し合っておりました。設営準備終了直後に物販スペースでの販売が解禁され、レアものの海外RPGが格安販売されていたので、色々物色していると「クトゥルフの呼び声」のシナリオ集「Casebook」(絶版)がなんと500円で売られていたので思わず即買い。これだけでもう幸せな気分になってしまいました。他にも色々あったようですが、一般入場前にレアものアナログゲームはほぼ消えちゃいましたな。まぁ役得ということで。

 会場してからの1日目昼の部のうちのイベント会場にはなかなか人が来ませんでしたねぇ。まぁそりゃ最初は普通にSF大会の講演を聞きに行くだろうなぁとは思っていたので気にはなりませんでしたが。隣の食堂スペースの一部だと勘違いして堂々と飯を喰ってる人を、追い返すのが大半の作業に。それでも少しは様子を見に来る人がいるようなんですが、拘束時間の長いRPGをやる人はほとんどいないみたい。じゃあここは一発マルチゲームでもやるかと、RPG研のメンバー4人とマルチゲームくらいならという2人組で「スコットランドヤード」をプレイすることに。犯人役は我がサークルのマルチゲームの「青き巨星」T.Minoriにやってもらうことに。この「スコットランドヤード」のプレイはT.Minoriの天才的逃亡術のおかげで最終ターン1ターン前まで犯人捕縛に白熱するという盛り上がりを見せ(「スコットランドヤード」のプレイで刑事が5人もいるとあっという間に犯人が捕まってしまうのでつまらなくなることが多い)、一般参加のお二人もかなり楽しんでくれた様子。さすがT.Minori、とうならされることしきりでした。

「スコットランドヤード」終了後に「ガンダム戦記」のミニチュアバトルをプレイしたいという方1人現れたのでRPG研メンバー5人で参加して、3対3でやることに。私と明之介さんと一般参加の方がジオン軍で残りが連邦軍。という構成。一般参加の方は渋くグフを選択し、川があるということで明之介さんがズゴックを選択。「ガンダム戦記」のマスター経験のある私としては、それほど広くないミニチュアマップにおいてはホバーの移動力が重要になると考えドムを選択。明之介さんのズゴックのミニチュアが何故か赤いことを理由に、勝手に「少佐、お任せ下さい(声:永井一郎)」と呼びかけながらゲーム開始(ちなみに実際のデータはただの量産型ズゴック)。

 何やら連邦側のミニチュアを見ると全部「連邦の白い悪魔」(正確にはアレックス・ガンダム・ジム)。思わず、「しょっ、少佐、連邦の白い悪魔が3機もいます!」などとバカゼリフを繰り広げながらホバー前進。いや実際ルナ・チタニウム装甲のMSが相手では厳しいのう、と思っておりましたが。さらにジオン軍の構成には致命的な弱点が!いや、移動力が揃ってないので、どう見ても各個撃破されちゃいまんがな、ということなんですが。あと弱いモビルスーツに乗っているとキャラクターが強くて、強いモビルスーツに乗っているとキャラクターが弱いという形でバランスが取られているというシステムにおいて、中堅モビルスーツであるドムは何とも中途半端な強さ。ダイス目が根本的に悪い私なんかの場合、ビシバシ弾が当たりそうな感じなんですな(このことは後で知った)。そして先行しすぎた私のドムは「戦艦並のビーム砲」をやたらめったら打ち込まれ、最後のアレックスに肉薄しての必殺キックも「化け物クラス」の装甲に跳ね返されるというオチも着き、最終的には「ガンダム戦記」特有のダルマ状態に(幸運値なしのシステムでやったにもかかわらず奇跡的に胴体にだけ当たらなかった)。情けないことに「少佐!脱出します!」と言って、増援(私がギャーギャーやっていたのに興味を持ったのか新しい一般参加者が来ていた)を仰ぐことに。そのころ、明之介さんのズゴックは必殺の水中からのジャンプアタックの効き目もなく(アニメみたいに即座に撃ち殺されなっかたのは救いか)もうボロボロ。最強パイロットの乗るグフのみが後ろに取り残されるという寒い展開に。あーこんなガルマみたいな指揮取ってちゃいかんなぁなどと思ったり。そんなこんなでジオン側判定敗北というところでタイムアップ。まぁまぁの盛り上がりにはなったとは思うんでしょうがどうなんでしょう。

 この後少し休んだあと、その当時未発売だった「特命転攻生」のマルチテーブルセッションに参加してくれとのオファーがあったのでRPG研メンバー全員参加することに。私自身は以前サークルで行われたマルチテーブルセッションに参加したこともあり、また「蓬莱学園の冒険!!」のマスター経験から柳川房彦プロデュースのこの「特命転攻生」がどんなRPGなのか興味を持っていたので結構乗り気で参加しました。選んだアーキタイプはマリーア女子高等学校の「魔女っ娘」。女性キャラは根本的に苦手なんですが、なんでわざわざ・・・と言われれば、ここは一つ男らしく「特命ワールド」に浸ろうかと思って極端なアーキタイプを選択したというところ。秘技に、巨大なケーキを出して敵をペシャンコにする、「ケーキよ出てこい!」というものがあったので、おばさんのケーキ屋でアルバイトする女の子「魔法のパティシェ☆スイートハート」なんぞというとダメダメな設定を書きながらセッション開始まで待っておりました。

 セッション内容に関してはまた今後行われるかもしれないので割愛しますが、以前にやったマルチテーブルセッションとは違って戦闘が中心で進行していったので、ちょっとやりにくかったですかねぇ。「魔女っ娘」は戦闘では大して強くはない上に、通常判定を行うチャンスが少なかったので、EPPが全然貯まりにくかったのはキツかったかも。もしかしたらこれは「マルチテーブルセッション」というものへの理解が伝わりきっていなかったのが原因かも知れません。何と言ってもSF大会でのセッションだったので、RPG知識的にはあまり高くなかったのでそこいらへんのフォローがあったらもっと、マルチテーブルセッションらしくなったかもしれません。シナリオの時空間的な論理整合性に関してもチグハグな面が見受けられたのはちょっと残念でしたが、これもマルチテーブルセッションでは仕方ないと言えば仕方ないことですし。JGCでも同じものが行われたそうですが、うまく行っていれば良いなぁとは思います。ここいらへんのちょっと辛めの感想は私個人の嗜好もあるので一概には言えないでしょう。実際2日目未明の「特命転攻生」セッションはプレイヤーが7人くらいいましたので、この「特命転攻生マルチテーブルセッション」はおおむね好評だったと思います。あとセッション中に「特撮の効果音を作ろうという」イベントが同じ展示場内で行われていたんですが、これの出す爆発音がいきなりかつ強烈かつ何度もだったので心臓麻痺で逝ってしまうかと思いました。

 さて、特命転攻生のマルチテーブルセッションが終了する頃には我々はエネルギー残量が尽きかけておりました。何故かと言えば、いつき以外ほとんど寝てない状態だったからです。とりあえず腹が減ったのでメシを喰いに海浜幕張の駅前まで行ったのですがそこでしばらく丸々1セッション分くらい、ゆっくりしてしまいました。そして24時も過ぎて、2日目に突入することになります。

4.2日目

 我々の中で最長老の明之介さんは、ホセ・メンドーサ戦が終わったあと矢吹ジョーのように「真っ白」になっていたので、サードさんの方で借りているホテルで睡眠をとることに。しかしながら残りの4人は結構興味があったので眠い目をこすりつつ、特別パネルディスカッション「テーブルトーク・ロールプレイングゲームの未来を語ろう!!」を聞くことに。残念ながらパネラーの方々の時間の都合がとれなかったようで、「TRPGの未来を語ろう!」と言うより、「今年度末くらいまでの日本のTRPG出版の未来を語ろう!」という感じになっていまいましたねぇ。司会の朱鷺田さんの人当たりがやたら良さそうなのと、後ろで永久に歌われ続けるアニソンカラオケの圧力が何とも印象的だったいう記憶だけが残っております。

 さていい加減完全にエネルギー残量ゼロになってしまったRPG研メンバーは講演終了後に隣の畳スペースで死んだように眠ってしまいました。朝6時に大音量で行われたラジオ体操にも全く気付かずに。個人的に「夜中は会議場での講演がないから、セッションが立つのはこの夜中の時間帯じゃろ!」と予想していてかつ予想通りだったただけに、このエネルギー切れは残念で、ボランティアとして結局何もできなかったことも心残り。実際ヴァンパイア・ワーウルフ・ヒーローウォーズ・ブルーローズ・ネオアポカリプスなどなど、新作もしくは未発売のシステムが多数を占めていただけに是非セッションに参加してみたかったのですが、返す返すも残念でなりません。ああ何を嬉々とフィギュア塗りをしていたんだかなぁ。

 結局朝方に未確認生命体第0号のように荒々しく復活した明之介さんのみが、早朝のセッション(ヴァンパイア・ザ・マスカレードの翻訳者・徳岡さんのヴァンパイア&ワーウルフのクロスオーバーセッション)に参加しただけという体たらくに終わりました。参加希望を出すのを寝惚けて忘れてしまったんですな。セッション開始の頃には駅前のヤマザキストアでパン食ってました。仕方がないのでまぁそのつもりもあったということでSF大会の講演にいくつか参加しました。個人的には「キッズアニメの東西」という講演は参加者が10人前後しかいないという快適な環境の中、BSアニメ「大好き!ぶぶチャチャ」の監督アミノテツロー氏の「心暖まる話」が聞けたのは非常に良かった。一緒に聞いていたいつきと思わず満足してしまいました。

 さて撤収準備を手伝いに戻ると、セッションが終わったはずの明之介さんがいない。どこ行ったんかなぁと待っていると、「でじこの人生ゲーム」を抱えた明之介さんが。「何すかそりゃ!」「いや、クイズ大会の景品でもらちゃって」、最後のオチまできっちり取っていく明之介さんでありました。

5.まとめ

 私個人は睡眠時間の調整ミスで参加できたものが少なくなってしまいましたが、SF大会の一般参加者にとっては、好きに時間帯を決めて適宜参加できるというシステムでしたので(特に講演のない夜の時間帯も頑張ってやっているというのは、暇している人にはありがたかったかも)かなり受けが良かったと思います。ただアナログゲームを遊ぶにはあまり適していない環境だったのも事実で、そこは少し不満があったかもしれません(まぁ仕方ないですが)。スタッフの方々は本当に不眠不休で働いておられたので心配していましたが、その犠牲もあってある程度SF大会の参加者に「アナログゲーム」をアピールできたかとは思います。

 以上とりとめもないレポートでしたが、個人的には、SF大会を見れたこと、イベント前の修羅場を体験できたり、RPG業界の方々の話を色々聞けたりしたこと、そして撤収の時に朱鷺田さんと一緒に電線を巻けたのは(密かに)嬉しかったです。

 最後に、イベントを無事進行させつつ、不慣れな我々をフォローもしていただいた、サードの方々に感謝しつつ、記事を終わります。



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