セッションレポート

輪廻戦記ゼノスケープ

  『炎の記憶』

文責:ぴろき

■事前準備

 年末期待株の国産RPG「輪廻戦記ゼノスケープ」を、i-OGM経由で入手。以前から公式サイトなどで得ていた情報から、私好みな設定であることはわかっていたので、さっそくプレイしてみるべく読み込む。サマリーをつくりながらじゃないとルールが理解できない身体になってしまっているので、6ページほどにまとめた冊子も同時に作成。
 で、やっぱり最初は付属シナリオからやるのがいいだろうと思ったので、三本ある中から一番琴線に触れた感のある第2シナリオ「炎の記憶」を選択した。戦国末期の記憶を手がかりに、失踪した女学生を捜す、というプロットで書かれているシナリオ。敵役がヘルメス機関の魔術師だというのも選んだ理由である。

 参加者募集は、年度末ということで少し不安はあったものの、サークルの仲間のうち四人(Aさん、Kさん、Tくん、Sくんと仮称)を問題なくゲット成功。夜七時集合ということで段取りをつけた。

■セッション

 当日、定刻の夜七時少し過ぎた辺りで全員集結完了。さっそくキャラクター作成に入ることになるが、その前にp.38-41の「あなたは何者なのか?」部分のコピーをプレイヤー各人に渡して読んでもらう。Kさんは前日にルールブックに目を通してきたとのことで、主にフォローにまわってもらった。で、設定の基本的なところをだいたい呑み込んでもらったところで、作成手順開始とあいなった。ここまでで約十五分。

 手順はルールブックに書いてあるとおりに進めることにした。まず“覚醒前”のキャラクターを作ってから“覚醒”による成長を行って完成、という寸法である。まず、キャラクターのピースとアスペクトを選んでもらう。あまり前情報がないということもあって、全員がカードを無作為に選んで決めるという方法をとった。初回プレイということで、扱いが難しそうな「チェッカー」と「ポーン」はGM権限で禁止した。で、結果は次の通り。

・Aさんルーク/天王星
・Kさんクイーン/小惑星
・Tくんナイト/冥王星
・Sくんビショップ/水星

 セーラームーンみたいだなんだとプレイヤーから文句だか軽口だかが出るが、さらっと無視してキャラクターごとの称号を決めてもらう。これはピースとアスペクトから“太陽の騎士”だの“海王星の女帝”だのとつけることになるわけだが、「それっぽいものなら何でもいーよ」と私が言ったために、皆けっこういろいろと考案してしまい、思いのほか時間をとってしまった。ちょっと反省。
……でも、いくらなんでも「ルーク・スカイウォーカー」てのはあんまりです、Aさん。

 ピースとアスペクトで基本的なデータは決まってしまうので、あとはキャラクターが表向きついている「職業」を決めるのだが、ここでまたつまづいてしまった。原因は、職業のタイプがあまり多様でないことと、とっぴなものが多いということ。
 シナリオ「炎の記憶」は大学生や大学関連の職業を推奨しているのだが、「学生」は「あこがれの先輩」が一番大事だったりとかどう見ても中高生の設定になっているし、大学関連といってもあとは「教師」くらいしかないし、各職業ごとの技能も使えるやら使えないやら、というのが実態だった。
 プレイヤー諸氏も困ってしまったので、助け船のつもりで私が「職業の技能とかは自由に決めていいですよ」と言ってしまったのがやはり失策。ここでも皆がうーんと悩んでしまって時間をロスしてしまった。
 結論。職業については自作するかなんかしてバリエーションを増やしたり、もっと使いやすい技能をつけたりしないと選びにくい。改善の余地あり。GMがあらかじめ決めてしまっておくのが吉かも。

 そんなこんなで“覚醒前”のキャラクターはできたので、続いて6点の覚醒点を使って成長させることに。秘技や特技を追加するわけだが、やはり時間をとる。基本特技・推奨秘技だけを選ばせておけばさっさと終わるのだが、どうしてもプレイヤーの自由選択をさせたくなるというのはもはや癖なのでどうしようもないのかも。ともかくもこの段階だけで1時間近くかかった。
 結局、各キャラクターの概要は以下のとおり。

Aさん天城 敏也(ルーク/天王星)陸上選手。日本刀の剣士。
Kさん千原 愛(クイーン/小惑星)心理学専攻の学生。獣娘。
Tくん御影 冷司(ナイト/冥王星)フリーターのバイク乗り。死神の鎌で戦う。
Sくん水原 六郎(ビショップ/水星)文学部の教官。式神使い。

 独自の「アイズ」を持っているのは“水原六郎”だけになった……が、なんでよりにもよって「異星の客」のアイズを選ぶかね。しかも“名状しがたき精神体”なんて設定だし。まぁ君がそういうやつだとは知ってるけどさ(苦笑)。
 最後に、シナリオ用アイズを渡す。これは今回のシナリオで見ることになる前世の姿というわけで、すでに時間もおしていたのでぱっぱと決めてもらった。
天城(Aさん)剣豪「天野竜之進」。
千原(Kさん)修験者「冥暗坊」(なんて名前……)。
御影(Tくん)傀儡師「霧原猿之助」。
水原(Sくん)南蛮医者「ザッヒェル・ブロッホ」。

 以上でキャラクター作成は終了。この時点で九時半。2時間強の時間が経ってしまっていた。コンベンションでやる場合は、あらかじめピース、アスペクト、職業、シナリオ用アイズのあたりはGMが決めておいたほうがいいかもしれない。
……あと、「決める名前が多すぎる〜〜」という意見も。確かに。

 さて、「ゼノスケープ」セッションの三段階の最初である「オープニング」は、ごく普通の探索型RPGのように進む。
 冒頭で「こんな夢を見た……」と必ずGMのモノローグシーンを入れることになってるあたりは、最近の国産RPGだなぁという感じ。今回は付属シナリオということもあって、ただ読み上げるだけになってしまったので、いまいち効果のほどははかれなかった。

 PCは京大の同じゼミにいるキャラクター(水原だけは教官という立場)という設定。んで、キーパーソンである美奈川蝶子という美少女(十六歳の飛び級……)登場。彼女は新しくゼミに入ってきた学生という設定である。もう少し“美少女転校生”をめぐるシーンで遊んでみたかったものの、それほど積極的にPCがからむ気配を見せなかったので、この邂逅シーンは割とさらっと流した。

 帰りに御影と天城が蝶子を送る、という展開になったので、“夜の交差点”で最初のゼノスケープを展開させた。どうしても描写がマクー空間になってしまうのは私の業かも。
 ここで登場する敵のヘルメス魔術師のデフォルト名があまりにもダサかったので、きゅうきょ“ロタール・ペルシエント”というドイツだかなんだかよくわからない名前に改名。モノクルをかけているという以外は容姿も調整した。だいたい本筋にほとんど関係ないキャラなんだから、このくらいしておかないと目立たないし。

 続いてはじめての戦闘シーン。御影はバイクのレリックで突進、天城は日本刀のレリックで斬りかかる。まぁ、ここで魔術師をどうこうできるとは考えていないので、さっさと蝶子を片手に退散させて終了。
 戦闘はロングレンジとショートレンジの二つの距離帯しかない簡単なルールなので、状況把握は難しくはないのだが、ダイスとトランプを併用する判定方式にかなり戸惑ってしまった。基本は「達成値が目標値以上なら成功」というシンプルなものではあるのだが、技能と特技はダイス判定、秘技だけトランプを出す、という“ダブル・スタンダード”にはプレイヤー諸氏も整理に苦労していたようだった。
……あと、NPCはダイスではなくすべてトランプで判定なので、無闇に場札が増えてテーブル上がきつきつな感じ(このゲームは基本的にGMはダイスを振らない)。

 蝶子が首尾良くさらわれたので、PCは彼女らの行方を捜すことになる。シナリオで提示されている手がかりは「蝶子の書き残した絵」。本来なら蝶子がさらわれた場所に落ちている、という設定なのだが、あまりに不自然だしPCが介在できないので、プレイヤーの出方をうかがった後、蝶子の下宿で見つけることにした。どうやって女の子の下宿部屋に深夜入り込むかでしばし作戦会議……千原が女友達をよそおって管理人をだまくらかすことになった。

 で、あんまりGM側がゴネても長くなるだけなので、さっさと下宿に入らせて絵を入手させる。ここで水原が絵札を場に出して絵に対する“ヴィジョン”を試みた
 。シナリオでもそういう行動が予測されていたので、本能寺の変を想起させるイメージをそのまま伝える。げふ、とのけぞるプレイヤー群。まぁ期待どおりの反応ではある。
 で、燃え上がる砦、というのがキーワードになって捜査続行。水原と千原の二人は京大の図書館で本能寺について詳しく調べることにする……が、こういう展開はシナリオ中では予測されていなかったりする。このあたり、我々のプレイスタイルとシナリオライターの意識にだいぶ格差がある感じ。

 もっと大きな問題も発生。京都在住なプレイヤー諸氏には、現在の本能寺が戦国当時の本能寺とは別の場所にあることは先刻御承知なのである。そんなわけで「ゼノスケープ」の核心である「ミドル・ゲーム」段階のスタート地点「本能寺」に行く必然性がなくなってしまった。
……まぁ、すったもんだのあげく、行かないよりはマシ、ということで学術系以外の二人(天城、御影)が行くことになったので事なきは得たのだが、これは思わぬ陥穽だった……ふぅ。

 シナリオの想定する調査パートに入ったので(実際にはもう少し前から入っていたのだが)、スケープ・カードをつらつらつらと並べてチェスの駒をちょんと置いてから、プレイヤーにミドル・ゲームでのルールをひととおり説明する。……いや、だから私もロックみたいだとは思ったけどねぇ……。
 ボードゲームのようにぐるぐると手番を回しながら、複数のカードで構成された盤上で一回ずつ移動や行動を行う、というシステムなのだが、パーティーを組むルールとか、休息すると〔生命〕などが回復するあたりとか、「超人ロック」を知ってる諸氏にはなかなかたまらんものがあったようで。
 カードの並べ方だが、京大の図書館にPCのうち二人がいるので、急遽、「道」カードのとなりに「学舎」のカードを追加。で、ミドル・ゲームをスタート。

 まずなぜか天城だけが「道」のカードに移動してイベント発生。再び魔術師ロタールと遭遇。ただし彼はホムンクルス(ミーレス、雑魚敵)を一匹しかけてすぐに退去するので、ホムンクルスとの一対一の戦闘になった。
 が、ここでミーレスの判定の仕方がよくわからないことが発覚。ホムンクルスは【運動】判定で3枚もカードが引けるので、天城の攻撃判定では達成値が相手の達成値を超えられないのだ。要は戦闘用特技や技能を持っていないミーレスの防御達成値をどうやって出すのかが不明だったのだが、これはヤバい、ということで、しばらく中断してルールブックをひっくりかえす。
 ようやく戦闘のセクションで、特技のない防御は攻撃側が使った能力値で判定する、という記述を見つけて事なきを得た。ホムンクルスは当初の予想通り、天城の一撃で昇天。それにしても、ミーレスと光の使徒はPCと判定方法が違うのに、記述がばらばらと散らばっているのはちょっと……(泣)。

 PC四人が合流してパーティーを組み、繁華街で暴れ回る蝶子&魔術師を目撃した後、本能寺の旧跡に向かって盤上を進行。最初のドリーミング・トゥルーに入る。舞台は本能寺の変当日。PCは、当時京都に在住していたという設定の濃姫の家来たち、になる。
……いきなりキャラクターが変わるのと同じなので、ひとりのキャラクターに感情移入してプレイする向きには違和感が激しいかも。このDTは濃姫に本能寺へ急を報せるよう言われて出発したところで終了。シーンがブツ切れな感じで私個人としては気に入らないのだが、シナリオの要請なので我慢。

 本能寺址を示す「旧跡」のカードに全員が入ると再びDT。先ほどのシーンの続きで、信長の逗留する本能寺に到着したところから始まる。
 ここでPCは信長に対面して、本能寺の変そのものに巻き込まれてしまう。信長からは濃姫に書状を渡してくれるよう頼まれるものの、冥暗坊(御影)とザッヒェル(水原)はそれぞれ絵札を1枚出して信長と同行することに。あとの二人はとりあえず退場。
 燃えさかる本能寺の中で、自害して果てようとする信長を説得するという展開になる。このあたりは私もプレイヤーもノリノリな感じでプレイ。結局、信長とともに裏の古井戸から脱出……。まぁ、さすがに展開ヤバすぎなので、信長は致命傷を隠していたのだ、ということにしてPCに死を看取らせるまでにとどめる。
 一方、濃姫のもとに帰ったPCは、炎上する本能寺の遠景を見て絶望し、懐剣で胸を貫いた姫にまみえることに。ここでDT終了。ただ、私が調子に乗ってPCが書状の中身を読んで聞かせるところまで進めてしまったので、シナリオ本来の流れとは少し食い違ってしまった。

 現代に戻ってくるといきなり目の前にロタールと蝶子が。すごいはしょり方にのけぞるプレイヤー諸氏。いや、だから俺のせいじゃないって(弁解)。このシナリオ最大の難点は、この魔術師殿がいったい何を目的に蝶子の前世をよみがえらそうとしているのか、さっぱり設定されていないという点なのだが、これをその場ででっちあげようとしてもいまいち思いつかない。ええいままよ、とばかりに暴走中の蝶子との戦闘シーンに無理矢理移行してしまう。

 火炎を使うクイーンである蝶子(&魔術師)との戦いは、基本的にロングレンジでの撃ち合いに。が、クラブのカードが不足気味で、なかなか秘技が撃てない。
 加えて、天城と御影は接近してぶん殴ろうとするのだが、一撃で敵を倒してしまいかねないこのシステム上だと、一手の遅れは千年の遅れ、という感じで、近接キャラは殴る前に相手が倒れてしまう感じ。特に御影は結局一回も攻撃ができなかった……すまん。もう少し敵キャラ増やすべきだったかも。
 天城の秘技の一撃で魔術師ロタールは〔生命〕が2まで落ちて逃走。PCの呼びかけもあって呪縛が解けた蝶子は、混乱して墓地のある境内のほう(最後のカード「墓地」)へ走っていってしまう。PCも彼女を追いかけて最後のカードに進入。
 ここで再びDTへ。PCは、愛情に満ちた信長の手紙を読み聞かせてもらって安らかな顔で逝った濃姫を、本能寺から運んできた信長の遺骸と一緒に、焼け落ちて誰もいなくなった本能寺の奥まったところにひっそりと密葬する。……実は「冥王星」のパワーで死体を操れる御影のプレイヤーTくんは、このとき、現代で信長ゾンビー攻撃をしようと画策していたらしい。なんてヤツ(笑)。

 DTから戻ってきたPCは、濃姫と信長が葬られた場所で呆然とたたずむ蝶子を救出した後、最後のあがきを見せて近寄ってきたぼろぼろの魔術師と最終対決。
 しかし〔生命〕が残りわずかだったことや、必殺の「エナジードレイン」(相手の〔生命〕最大値吸収)技も抵抗されて、魔術師ロタールは反撃らしい反撃もできずに天城の聖なる力を込めた白刃一閃でまっぷたつになってしまった。悔しいので捨てぜりふを吐いてみたりする……うーん、どうも戦闘が盛り上がらないな〜〜。私がシステマティックな戦闘解決が根本的に苦手、ということも大きいのだけれども。

 で、エンディングはさらっと流してシナリオは終了。プレイヤー側からの感想としては、やはり二人の人格を持っているという点に戸惑いが大きかったということと、攻撃系秘技がクラブにかたよっているので、手札の編成によってはまるで使えない、加えてDT部分では基本的に事態の推移に介入できないので、どうプレイしていいかわかりにくい、という意見が出た。
 特にDT部分の展開は、シナリオの背景に直結するのでヘタに改変するとつじつまがあわなくなってしまうし、かといってまったくマスターの思惑どおりというのも味気ない。このあたりをどうするかが今後の課題だと思われる。



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