第1話「総本山強襲」

●過去の出来事●
・仁と誠二がまだ幼かった頃
2人は幼馴染の水谷 眞子と一緒に、寺の裏の林の中にある秘密基地で毎日のように遊んでいた。
そんなある日、家族旅行から帰ってきた眞子はお土産として星の砂を持ってきた。3人はその星の砂に「ずっと一緒にいられますように」と願いをかけて3つの小瓶に分けたのだった。
・10年前
京都市北部に突如としてヤマタノオロチが出現した。オロチは京都の街で暴れ始め、人・妖怪の区別なく襲いかかった。後に「京都大災害」と呼ばれる事件の始まりである。

オロチvs人間(聖光霊宗・陰陽寮・自衛隊など)&妖怪の争いが行われている中、神無も妖怪たちのリーダー格であった父親と共にオロチとの戦いに参加していた。しかし、まだ若い神無はオロチの攻撃を受け倒れふしてしまう。

一方、幸運にも被害をまぬがれていた仁は寺の裏手で何かの物音を聞きつけた。音のしたほうへといくとそこには一人の女の子(神無)が倒れていた。仁は彼女を寺へと運び介抱することにした。介抱している最中に彼女の頭に角が生えていることに気づくいたが、とりあえずは面倒を見ることとなった。

数日後、眼を覚ました神無は自分の名前すらも覚えていない状態であった。神無は見知らぬ人間に怯えていたが傷もひどくすぐに動ける状態ではなかったため仁の家でやっかいになることとなった。
その間に、妖怪と人間との連合軍によりオロチの封印が完成し、「京都大災害」は幕を閉じた。

しかし、京都大災害は数多の傷跡を残していった。
仁の元には聖光霊宗の法力僧であった母親がオロチとの戦いで亡くなったとの知らせが届き、仁と誠二の2人には眞子が行方不明になってしまったとの連絡が来た。

朱宮はオロチが封印直前に包囲を突破し、家族が避難している地域を焦土と化してしまう瞬間を目撃してしまう。
和田もまたこの災害で家族を失ってしまった。
・5年前
カグヤとその妹:ヒスイは何者かの襲撃を受け、その襲撃者から逃げていた。ヒスイは襲撃を受けた際にひどい怪我を負っており手当てをしないとマズイ状態であった。カグヤはヒスイを抱えながら必死で逃走を続けるが、うっかり足を滑らせて転んでしまう。
そこに突如、前方から陰陽師の一団が現れた。彼らはカグヤに一撃を食らわせると、そのまま2人を回収していった。

カグヤが眼を覚ますとそこはベッドの上であった。目の前には陰陽師が一人。陰陽師:犬飼 篤はヒスイの命を助ける代わりに自分の元で働くことを要求してきた。カグヤは人間のあくどさに嫌気を覚えつつもヒスイのために陰陽寮で働くことを承諾するのであった。
・3年前
京都大災害以来、虚無感に捕らわれていた朱宮は四条裏町の下宿宿に流れ着き、何でも屋家業を始めていた。
そんなある日、死んだはずの妻:玲佳とそっくりな顔の女が編み笠を深々とかぶった法衣の老人と一緒に歩いているところを目撃する。
それ以来、朱宮はこの人物を探し出すようになり、京都大災害の真相についても積極的に調べ始めるようになったのだった。
・2年前
京都大災害で家族を失った和田は、無事だった彼女:狭山 響子と生活を共にし、何とか今までやってきていた。
そんなある日、和田は正式にプロポーズをすべく響子を夜の公園へと呼び出した。静まり返る公園の中、和田のプロポーズの言葉が響く。それを聞いた響子は目に大粒の涙をたたえながら返事をかえそうとする。その瞬間、黒い大きな影が彼女に襲いかかり、次の瞬間和田も吹き飛ばされてしまう。
その影は、和田の前まで来ると目の前で響子の腕、足を引きちぎり腹を掻っ捌き始めた。
なすすべもなくただ絶叫する和田。銀色の目をした猿のような影は、一通り響子を嬲ると何の気まぐれか和田を痛めつけるだけ痛めつけた後、そのまま去っていった。

和田が次に目覚めたのは半年後。一命をとりとめた彼は、高名な符術師である仙神に弟子入りし不自由となった両手に符を埋め込み復讐のための人生を歩み始めるのだった。
・1年前
誠二は聖光霊宗大僧正:瞬陽に呼び出されていた。なんでも、聖光霊宗が対オロチの切り札として用意した刀の所有者候補の1人として幼馴染の仁が選ばれたとのこと。瞬陽から、仁がその刀を振るうにふさわしい人物かどうかを見極めてもらいたい、との依頼を受け誠二は見極めの任につくことになった。
●現在●
1学期終業式の日。いつものように学校に向かう仁。道すがら誠二と出会い一緒に登校していると大通りのほうで「妖怪を駆逐せよ!」などと言っているデモ行進に出くわす。その規模は100人ほど。
2人がそのデモ行進を見ていると、参加者の一部が通りすがりの妖怪の親子を発見し石を投げ始めた。投石行為は見る見るうちにエスカレートし、ついにはリンチにまで発展してしまう。
助けを求める妖怪の親子。しかし、周りの人間は誰も助けようとはせず、仁と誠二もまたそれを傍観しているだけであった。

しばらくするとリンチは収まり、リンチをしていた連中はデモ行進へと戻っていった。残されたのはボコボコにされた妖怪の親と瀕死の子供。ここで仁と誠二は親子の元へと行くが、このまま彼らを助けていては学校に遅れてしまう、ということで寺のほうに電話をする事に。
事情を聞いた仁の祖母:志摩と神無はすぐに現場へと向かい親子を妖怪も見てくれる病院へと連れて行った。しかし、神無は仁の薄情さに不信感を募らせるのであった。

その日の夜。洛北高等学校夜間課程:通称アヤカシ学校に出勤したカグヤは校長室から2人の役人風の男が出てくるのを目撃する。
校長に話を聞くと、この2人の男は政府の役人らしくアヤカシ学校の視察に来たとのこと。また、最近では人間を敵視する妖怪組織が動きを活性化させているらしいという話も聞いた。
カグヤは女子学生の色香を使って役人から話を聞きだそうとするが役人には通用しなかった。
●動き出す歯車●
夏休みに入ったある日。仁は祖父:鉄斎から3日後、聖光霊宗総本山に行くようにと言われる。理由は鉄斎も知らないが総本山からお呼びがかかったとのこと。何か重大な集会があるらしい。不承不承、承諾する仁。
鉄斎は人間に対して不信感を抱いている神無に対して、ある程度妖怪に対する理解のある総本山に顔を出してきなさい、と言いつけ総本山に行かせることにした。

その頃、総本山では対オロチの切り札である妖刀「紅」の継承の儀が近々行われるという話題で持ちきりとなっていた。
そんな中、誠二は瞬陽に呼び出され、仁についての報告をしていた。曰く、最近は受験勉強に忙しく他のことにはあまり興味を示さない、とのこと。これを聞いた瞬陽は眉をひそめるが、とりあえず誠二には引き続き見極めの任を遂行するように言い渡すのだった。

一方、聖光霊宗に潜り込んでいるカグヤには、犬飼から「紅」の力を見極めろとの命令が伝えられていた。
なかなかヒスイに会えないカグヤは業を煮やして問い詰めてみると、ヒスイがお茶を持って現れる。騙されているのではないかと疑っていたカグヤはヒスイの無事を喜ぶが、ヒスイが犬飼に対して思慕のまなざしを向けていることに気がついた。
ヒスイが立ち去った後、カグヤは犬飼にヒスイに手を出すなとかみつくが、犬飼は素知らぬ顔をするのであった。

そんなカグヤの元に犬養のものとは違う式が送られてくる。送り主は三倉という男。現在の陰陽寮に危機感を持っており、特に対オロチ戦では聖光霊宗や妖怪との協力が必要と考えている陰陽寮の中でも異端な男である。
三倉から、「紅」の所有者や聖光霊宗との仲介となって紅か、と依頼され、カグヤは三倉を疑いながらもとりあえずは了承することにした。
●『紅』●
そして、3日後。仁、神無、誠二、カグヤは聖光霊宗総本山集まった。多くの法力僧が集まる中、仁の他に3人の「紅」所有者候補が座っている。
1人は仁同様の一般人:山南 亮一。残りの2人は法力僧で、1人は自信に満ちた顔つきの女性:草壁 亜里紗。もう1人はうっすらと笑みを浮かべている男:黒木 竜也である。

しばらくすると、瞬陽がやって来て事情を説明してくれる。これから候補者に順に刀を抜いてもらい、変化が起こったものが正式な所有者となるらしい。
山南、黒木と順に刀を抜いていくが変化はなく、亜里紗も自信満々に刀を抜くが何の変化もなかった。呆然となりながらも仁を睨みつけてくる亜里紗。
そんな中、残すは仁の番だけとなり、刀を引き抜くが何の変化も起こらない。しかし、仁の頭の中には声が響き渡る。

「お前が俺の使い手か。お前に俺を使いこなすだけの覚悟があるか?」

うろたえる仁。瞬陽は、頭の中に声が響いたということから仁を所有者として決定しようとするが、亜里紗が「刀ほしさに嘘をついているに決まっている」と猛反対し、場は騒然となってしまう。
●総本山強襲●
一方その頃、独自のルートから聖光霊宗総本山で重大な集会があると聞いた朱宮と、師匠の仙神から、北の地で大きな事件があると聞いた和田は総本山の近くで偶然出くわしていた。
数日前の事件で顔を合わせていた2人はとりあえず敷地内に入り込んで様子を調べることに。敷地内に入り、集会を行っているであろう建物まで近づいたところで、朱宮は総本山を囲っていた結界が消えてしまったことに気づいた。
次の瞬間、100を越える妖怪の集団が総本山に向けて攻め込んできたのだった。

妖怪襲来の報は瞬陽にも伝えられ、法力僧たちは迎撃に出向いていった。「紅」から「俺を使いたければ魂をよこせ。お前の魂を力に変えてやろう」と言われ躊躇するも、自分の身を守るためにも戦わざるをえないと覚悟を決め、仁は「紅」を手に外へと駆け出していった。

外へ飛び出すと、妖怪の大群と法力僧たちがせめぎあっているところに出くわすが、妖怪の数が多く法力僧は劣勢気味である。そんな中、PCたちはリーダー格とおぼしき4匹の妖怪を発見する。

・1匹は蜘蛛の体から人間の女の上半身が生えている妖怪:土蜘蛛
・1匹はドス赤い体毛と白銀の眼を持つ猿の妖怪:猿鬼
・1匹は朱宮の亡き妻:玲佳と同じ顔をした人間の女を傍らに仕えさせている法衣を着た骨と皮だけの老人:蛇骨
・1匹は4匹の中でもリーダー的立場にある様子の武者鎧を着た人物:椿鬼

どうやら、総本山の結界を破ったのは蛇骨という老人らしい。椿鬼は土蜘蛛と猿鬼に指示を出すと蛇骨と共に姿を消してしまう。

とにもかくにも雑魚どもを蹴散らし、土蜘蛛、猿鬼の元に向かうPCたち。恋人を殺した仇である猿鬼を見つけ猛然と突っ込み攻撃を仕掛ける和田。
攻撃は軽くかわされ強力な一撃を喰らってしまうが、カウンターで追跡符を貼ることには成功した。

土蜘蛛のほうにはカグヤが攻撃を仕掛け、かなりのダメージをくらわせると、土蜘蛛は「襲撃は成功した、次の任務に移る」といって撤退を開始し、猿鬼を含む妖怪たちも撤退していった。
●第1の結界石●
総本山は、法力僧の抵抗と妖怪たちの撤退から壊滅こそは免れたが、かなりの大ダメージをくらってしまった。あちらこちらで傷ついた法力僧の手当てがなされている中、瞬陽がPCたちの元へとやって来て、オロチの封印を補強している結界石の様子を見てきてくれ、と依頼してくる。

なんでも、オロチ本体は箕ノ裏ヶ岳に封じられており、それを囲む三山:神山、鞍馬山、瓢箪崩山に結界石が置かれているとのこと。
神山は霊的中心地であり日本有数の結界がはってあり、鞍馬山は妖怪たちの領分ということで妖怪たちが守護しているが、瓢箪崩山のみが手薄な状態になっているらしい。
オロチの復活だけは避けたい仁はこの依頼を受け、瓢箪崩山に向かうことにした。

すると、「紅」の所有者が仁であることに納得のできない亜里紗は、「紅」がなければ戦えないそこの男とは違う、と言い残して一人で瓢箪崩山に向かって歩き出す。その後ろを何も言わずについていく黒木。
今なにかを言って刺激するのはよくないということでPCたちは2人の後ろからついていくことした。

瓢箪崩山に向かう途中で和田の携帯が鳴る、相手は師匠の仙神。「すぐに戻ってくれ、あおいが、猿の妖怪に…」この連絡を受けた和田は他のPCたちから分かれて師匠の元へと向かっていった。

他のPCたちは何事もなく瓢箪崩山へ。結界石の近くまで来ると前方で亜里紗の悲鳴が聞こえてきた。
走っていくと、そこには土蜘蛛と鎌鼬&鵺がおり、亜里紗は蜘蛛の糸に絡めとられ木に貼り付けられている。
亜里紗のことは黒木に任せてPCたちは土蜘蛛と戦闘を開始する。

土蜘蛛のいやらしい攻撃をくらいながらもなんとか土蜘蛛を倒し結界石を守ることに成功。
亜里紗も冷静さを取り戻し、「紅」の件はいまだに認めないものの「ありがとう」と礼を言うのだった。

第2話



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