無限のファンタジア! 解説

3月12日、我々はTRPG版「無限のファンタジア」を当研究会で初プレイした。
GMの意図で、なるべく手を加えないナマのインフィニット・ファンタジアを体感すべく、付属シナリオを使用したのだが。

「すげー。この世界観にシナリオ、凄すぎる!」

というわけで、
さっそくセッションレポートを載せたいと思う。

その前に、どうしても世界観やシステムの説明が必要となるが、
長くなるため、これだけ先に書いて分離しておこう。
それでは解説、はじまりはじまり。
「無限のファンタジア」へようこそ。

まず我々は、絢爛豪華なルールブックに目を奪われた。
総カラーである。
そして、キャッチーな女の子キャラの数々。
ここまでは昨今のFEARゲーを見慣れている我々、
どうということもない。

「何だ、こんなものか。」

我々は高をくくっていた。
しかし、我々は間違っていた。

そう、肝心要の世界観である。
GMが語るにつれ、その世界は我々の心をわしづかみにしてしまった。

そう、それは、こんな世界だった。

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冒険の舞台となるランドアース大陸では、『グリモア』なるアイテムを巡り、異種族同士が数百年も争っている。

グリモアは破壊・移動不可で、これを支配した種族は『力』を得る。それは、強い力、敏捷性、魔法力、特殊能力、つまり新たな可能性だ。

グリモアを得た種族のみが人間として扱われ、奪われた種族は使役動物として勝者に隷属する。前者を『列強種族』、後者を『奉仕種族』と呼ぶ。

このため、自らのグリモアを守ることが全種族の最優先事項となり、数百年続く戦乱はすべて「グリモアを奪われる前に奪う」ためのものであった。

冒険者は、グリモアの力を求め、超越的な力を引き出せる者の総称。最も危険で、最も名誉のある職業だ。冒険者達を尖兵として、ランドアース大陸の覇を競う種族間戦争は絶え間なく続く・・・・・・。

〜〜〜〜〜

なお、詳しい世界観はコチラ。
http://t-walker.jp/mugefan/html/intro/intro03.htm

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危うくカラーでキャッチーな萌え絵に騙されるところだった。

『列強』? 『奉仕』?

しかも同盟の六大列強種族として挙げられたのは、
ヒト・ストライダー・エルフ・リザードマン・セイレーン・ドリアッド。
全てキャッチーな女の子の絵で紹介されている。
なお、ストライダーは「動物の尻尾がついた」敏捷な種族である。残念ながら耳はついていないようだ。
また、リザードマンだけは、どうしようもなくリザードマンで、
仲間外れの間違い探しみたいだったが。

一応、この世界ではすべての種族はヒトから分かれたらしい。
にしては、セイレーンとドリアッドに「永遠の命」がついているぞ?

シナリオプレイ時、PLは5人で、リザードマンが回避された。
あと、なぜか全員女性PCとなった。
推測だが、
モンスターと化した時の絵柄での扱いを考慮したものだろう。

**

次は、グリモアについて。
グリモアは、これを所有する種族に超越的な力を与える。
その所有の仕方は簡単(ホームページの言葉)。

グリモアの支配域内にいるすべての者が、
心から特定の種族が問題のグリモア所有者となることを願えばいい。


極端には、2つのケースが考えられる。

その1。
当該グリモアの支配域内にいる、
今までグリモアを持っていた種族(新しい奉仕種族)が、
新しくグリモアを所有しようとする種族(新しい列強種族)に対して、
一片の曇りもなく心から支配を受け容れます、と忠誠を誓えば、
無血でグリモアは委譲される。

その2。
新しくグリモアを所有しようとする種族(新しい列強種族)が、
当該グリモアの支配域内にいる、
今までグリモアを持っていた種族(新しい奉仕種族)を、
実力によって排除し、然る後に自らの種族を支配域内にいれて、
自分たちだけで所有を宣言すれば、グリモアの支配権は移動する。

どこの誰が、その1を選ぶというのか?

つまり、「てめえら、これでもまだ俺達の支配を受け容れないってのかあ? ああん?」などといいながら、支配域内の奉仕種族を虐殺していき、完全に放逐したところで自種族により植民・占領するのが、この世界でグリモアをゲットするスタンダードらしい。

しかも、グリモアを奪われた側は、一般人は奉仕種族となるだけで済む(これもひどいな)が、冒険者であればモンスターと化してしまうのだ。そりゃグリモア防衛を至上目的とするグリモアガード(構成員はもちろん冒険者)もいるわけだわ。

やべえ、震えが。

なお、この世界。
グリモアに支配されていない地域は存在しないらしい。
ひどいところだね、HAHAHA。

しかしやはり当然というか、付属シナリオの内容は、
グリモア争奪戦など、ちっとも関係ないのであった。

**

次は、システム。とてもシンプルだ。
ネット上でやる以上、コンピュータ・フレンドリーでなければならず、そのためか2進法があちこちに。

能力値は体・技・心の3つ。
D20の出目が能力値以下なら成功。
能力値の2分の1、4分の1、8分の1・・・・・・とn(2の乗数)分の1以下を出せば、n倍成功となる。

達成値は、成功度そのまま。
たとえば、心24のキャラが、D20で6を振ったら4分の1以下で4成功となる。
ただし、趣味技能を3つまで取得でき、これらは成功度が1段階上がる。
たとえば、誘惑が趣味だったとして、ダイス目だけで2成功でも、+1して3成功になるということだ。2の乗数以外の成功度になる唯一のパターン。テストに出るので覚えておこう。

能力値は、レベル・種族・クラス(職業)・年齢・体型・性格・誕生日(?)などで決まるようだ。振り分けは、けっこう微調整できるので悩まずとも良い。

クラス毎に初期装備があり、レベルが上がれば、より優秀な武器・防具などを装備できる。クラス毎に装備可能かどうかは異なる。だが、同じ系統の装備は、たとえば1レベルの次は4レベル、次は7レベル・・・・・・と飛び飛びにしかなく、レベルアップしても必ずしも装備可能なものが増えるとは限らない。

戦闘は、対抗判定で行う。
攻撃も、体・技・心の3種類に分かれており、防御側は攻撃の種類にあわせた回避を体・技・心で行う。防具も、体・技・心ごとの防護点が違っている。
攻撃側が上回れば、ダメージ。防護点を引いた残りを食らう。
防御側が上回れば、回避。
攻撃側が1の目を出せば「クリティカル」で、ダメージが2倍になる。
攻撃側と防御側が同成功数なら「ガード」が発生し、防護点が2倍になる。
ファンブルはない。

あと活性化アビリティといって、クラスごとにアビリティ表があり、シナリオ毎に使う特技を選んで持っていける。クラスアーツをD&Dの魔法みたいに「今回はコレで行くぜ」と決めるわけだ。
このアビリティも、無印の4回、『改』がつくと8回、『奥義』なら12回というように1シナリオ中の使用回数制限がある。
恐ろしいのは「1日」ではなく「1シナリオ中」というところだ。
つまり、寝ようが何しようが回復しないのである。
同じシナリオ中では。

持っていくアビリティごとに規定のCP(マジックポイント)が必要なので、レベルが低いうちは回数制限が厳しい。バランス悪いシナリオで、敵が多すぎる場合、アビリティ切れを起こして悲惨なことになる。
実際どうなるのかは、今度話そう。

最後に、グリモアエフェクトを忘れてはいけない。

PCたちは、グリモアの加護を受けた列強種族の冒険者である。
どうしても失敗したくない判定が巡ってきたとき、幸運度というパラメータを消費することで、グリモアエフェクトを要求できる。
具体的には、プレイヤー全員がD20を振って、そのなかで最低の目が、問題の判定の値となる。

たとえば、失敗したら死ぬ状況で、谷を飛び越える大ジャンプを強いられたとしよう。ここでグリモアエフェクトを要求。PC全員が振ったD20で、出た最低値が4だったとする。この場合、判定に適用する値は4となる。つまり、問題となったジャンプの判定で、4を振ったことになるのだ。

コレは大きい。さすがグリモア、これだけで凄い恩恵である。
奉仕種族を犠牲にしても、手放したくはならんよなあ。
なお、幸運度はプレイ1時間で1点回復する。20点まで溜めておける。

(2005/03/27追記:白兎氏から指摘を受け、グリモアエフェクトに付いては修正しました。)

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だいたいこんなところ。

あと、システムルールを1枚のシートにまとめたダイジェストを、
各プレイヤーに配るのは非常に評価できる。
これは、他のシステムでもぜひ取り入れたいところだ

では、次はセッションレポートで。
システムレビュー > 無限のファンタジア | comments (11)

Comments

左馬 | 2005/03/19 11:47
下の記事で訂正。

(誤)ソルレオン領内の奉仕種族の女性にとって、ソルレオンの男性と結ばれるのは「逆玉」

(正)「玉の輿」

すいません、頭が寝てました。
左馬 | 2005/03/19 10:58
色々疑問があるとは思いますが、次に挙げるサイトを参照して下さい。

□R&R 公式サイト□
http://t-walker.jp/mugefan/html/rr_trpg/top.html

□無限のファンタジア メインページ□
http://t-walker.jp/mugefan/html/main.htm

■図書館
http://t-walker.jp/mugefan/html/world.cgi

・これまでのあらすじ
http://t-walker.jp/mugefan/html/world/world16.htm

・世界地図
http://t-walker.jp/mugefan/html/world/world17.htm

■リゼルの同盟探検隊 記事
http://t-walker.jp/mugefan/html/jyouhou/jyouhou_index.htm
左馬 | 2005/03/19 10:40
同盟が擁する、希望のグリモアについて。

列強種族が持つグリモアには二種類あり、種族本来が持つ「主グリモア」と、支配下においた「従属グリモア」があるらしい。従属グリモアの力を合わせ、主グリモアは強力になる。具体的にはグリモアレベルが上がり、加護が強力になるらしい。

同盟に新たな列強種族が加わる際には、互いの同意下で、希望のグリモアの下に主グリモアを連結する儀式を行う。こうすれば殲滅戦を行わずとも、互いに新たなグリモアの恩恵を得られるらしい。
左馬 | 2005/03/19 10:32
・奉仕種族の扱い

同盟に所属する前のリザードマン領内では、ヒト・ストライダー・エルフ・ドリアッド等の奉仕種族への扱いは奴隷そのまんまだった。だが王都では奉仕種族の大商人が王に貢物をし、リザード軍を私兵として動かすこともあったらしい。こうした、階級間差別(?)が同盟がリザードマンを攻撃する一因となった。同盟側の人々は、列強-奉仕種族間には緩やかな支配関係が、つまり貴族-平民レベルの相互関係が成立するのは理想らしい。

・ソルレオン

武勇に秀で、誠実を旨とする種族。だが頑固で、自らのルールは曲げない。男性しかいない。ソルレオン領内の奉仕種族の女性にとって、ソルレオンの男性と結ばれるのは逆玉、なかなか実現しない夢らしい。
同盟からは友好の使者が何回か派遣され、平和への意図は汲んでもらえたが。領内でのアビリティ使用違反からグリモアガード団長を幽閉されたり(たぶん処刑されてる)。旧リザードマン領をソルレオンから守る防衛戦をしたり。旧リザードマン領の要害カディスを要求されたりで、難しい交渉を強いられている。
左馬 | 2005/03/19 10:18
徹夜でファンタジアの歴史勉強。
ちょっと我々の思い描いているのとは別の像が。

・奉仕種族

列強種族の支配域内にいる、列強種族以外の種族全てを指す。
例:ソルレオン領内のヒトやストライダー。
同盟種族の支配域内に奉仕種族がいないのは、希望のグリモアのおかげで殲滅戦をせずにすんでいるから。

・同盟種族

本拠の聖域に希望のグリモアを持つ種族連合。
当初は、ランドアース大陸の東端で、ヒト・ストライダー・エルフの三ヶ国が弱小連合を組んでいただけ。
PBWを追うと、これにドリアッドが加わり。次にリザードマンとの戦争を経て、これを同盟に加えて大陸中央に進出。新大陸発見とともに、ヒトノソリン、エンジェル。また、交渉で北方のチキンレッグが同盟に加わっている。
セイレーンは、ユルティナに王女が遊びにきてるが、同盟は結んでいない。ソルレオンとは、2005年2月現在カディスを巡って交渉難航中。
和魂 | 2005/03/19 01:35
GMをした私の説明が不十分で、左馬さんに誤解を与えているようなので補足説明です。

グリモアエフェクトは、プレイヤー全員がd20を振り、その中で最小の出目を自分の出目とします。最小値が複数個出ていれば、その個数を成功レベルに掛け合わせた値が最終的な成功レベルとなります。

幸運度は、セッション終了時に、【プレイ時間1時間ごとに1点】獲得します。一応上限は20点です。
左馬 | 2005/03/18 14:01
ソルレオンでgoogったら、こんなのが。
参考までに。

リゼルの同盟探検隊
探検隊発足以前の戦乱:ドリアッド・リザードマン・ソルレオン
準備号1:ランドアース戦乱号
http://t-walker.jp/mugefan/html/jyouhou/bf01/bf01.htm

かなりえげつないのー。
でも、相手を滅ぼさなくてよい希望のグリモア、とかいってるあたり、良心が残っているのか?
それとも、単にのんきなだけか?
蟻人 | 2005/03/18 08:30
普通に古代ギリシア人だと思ってたんだが、違ったのか。もっと殲滅戦だったのか。恐ろしい…(笑)。

個人的意見として、<希望のグリモア>。
異種族間で共有できるグリモア、とのことだが、このグリモアの存在によって共存の希望が生まれるのは、所詮<列強種族>だけだよな〜。
しかもそもそもグリモアが複数あるから、共有しなくても分け合って共存できる気がするんだがな。政治的取引に幅が出た、ってだけだろ。

ケダモン扱いのバルバロイが哀れじゃわい。
katala | 2005/03/18 00:59
なに? 列強種族は一人あたり百人の奉仕種族にかしずかれた素敵ワンダフルライフじゃなかったのか?w
それは大分イメージ変わるなぁ(我々の築いたイメージが歪んでるというツッコミは無しだ)。
でも革靴食ってる奴もいるんだから、そりゃそんなセレブ生活じゃないよな確かに。
左馬 | 2005/03/18 00:57
DAWN君、ありがとう。
もう一つ二つ忘れていました。

4.希望のグリモア。

同盟種族(例の六大列強)は、『希望のグリモア』という、「グリモアの力を異種族間で共有できる」グリモアで同盟を維持しているらしい。

何だか根底から設定を覆すようなグリモア。他の種族も入れてやれよ、とか思うが。対立する種族がいるときは、どっちか片方を仲間にすると、他方を敵に回すのでダメ、だったかな?

5.キマイラ。

グリモアエフェクト以外にも、凄い力を得る方法があるらしい。しかし、それは自らにランダム・ミューテーションを起こす副作用を伴う。

ミューテーション表を見ると、かなりどうしようもない変化(顎が生える、触手が生える等)もあり、あまりPC向けでない気が。

まあこんなとこで。
DAWN | 2005/03/18 00:44
という事で、左馬さんの記事をサルベージいたしました。

また、無限のファンタジアの公式サイトを確認した結果、いくつかの新事実が発覚しましたのでこの場を借りてお伝えします。

1.同盟種族(例の六大列強)には奉仕種族が基本的にいないらしい。

2.奉仕種族には(少なくとも国によっては)移動の自由があるらしい。

3.ソルレオン族(大陸中央の列強)には男性しかおらず、奉仕種族の女性を使って増えるらしい。

個人的には、同盟諸国に奉仕種族がいないという事実は驚きでした。常に殲滅戦を行っているのでしょうか?
また、「魂の意志」に関する言及はありませんでした。残念。

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