現代文明下の狂信者たち

クトゥルフ2010 GM:K

 大手ゲーム会社オナミから最近発売された人気恋愛シミュレーションゲーム「ラブクラフトプラス」が仕様にはない挙動を示すというクレームを受けて調査に乗り出すオナミの社員たち。果たして彼らはひどい目に遭うのか!?

以下、ネタバレが入ります。御注意下さい。
 「ラブクラフトプラス」に関してはキャラクターがおかしな言動をする、ユーザーの性格が変わった、ユーザーが行方不明になった、などの真偽の見分けがつかないような噂が広まっているようだったが、我々はそういった個別の案件は後回しにしてまずは「ラブクラフトプラス」のプログラム設計を受け持った十年来の下請け会社に出向き事情を聴くことにした。

 我々は「ラブクラフトプラス」の根幹を構成するプログラムの担当者に話を聞いていた。しかし、今回の件に関して詳しく事情を聞き出していると、彼は突然叫び出し責任放棄のためかとっておきの手品によって我々の目前から姿をくらます(実際には彼は次元のはざまに吸い込まれたのだが私にはそのようなことを知る由がない。)。後日ここの社員の置かれている勤務状況を調査する必要があるかもしれない。

 状況の把握にはどうしても彼の協力が必要だったので、我々は彼の行方を追う。

 調べ回った結果、彼には現在付き合っている女性がおり、また彼女の推薦により入った何らかの宗教組織に深く関わっているようだということが分かった。

 気は進まないが彼の足取りを調べるためにその宗教組織の集会に出向く。その宗教組織は拳銃やスタンガンを所有し、会員らは怪しげな香を焚いて異様な格好で踊り狂っていたがなんとか彼らの内の一人に話しかけてみると、以外にもその人物とはまともな会話が成立した。しかし、彼ら自身件のプログラマーを捜索中であり彼の現在の居所は分からないという。
 軽く礼をして我々はその場をあとにした。なお、銃の不法所持及び違法薬物の不正な所持・使用は法律上禁止されていることを知っている我々善良な市民は後に彼らのことを通報する義務を怠らなかった。

 結局プログラマーの行方は知れず次の方針を話し合っていたところ、プログラマーの彼女が直接会って話すことが可能だと言ってきたので会う約束をする。

 話を聞いているとどうやらプログラマーは彼女の部屋にいるらしい。我々は彼女の家のパソコンからプログラマーが独自に制作したと思しき修正パッチを入手した。そのため、彼女は隣の部屋にいる彼に直接会っていかなくていいかとしきりに勧めてきたが、明日から彼が通常通り出勤するように彼女の口から説得してくれれば、我々が寝ている彼を無理に起こして説教をする必要はないといって部屋をあとにする。
 なお我々のうち一人がその部屋の扉を開け無言で閉めたので、彼の所在は確認できたものとする。

 翌日「例のプログラマーと思しき何かは本日早朝に突如出勤してきて辞表を提出した。」という内容の報告が上がっていきたが、私は何の面白味もない稚拙な冗談だと思い溜息をついた。



補足をすると彼女はニャルラトテップで彼女に魅入られたプログラマーは異形の生命体になっていました。
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