中世ヨーロッパの風景 < 城について >

4.山城と水城


山城(へーエンブルクHohenburg)

 山や丘陵部など、周辺の地を見下ろす場所に建てられた城砦を、山城といいます。
 山城は(1)頂上城、(2)半島城に分けられます。

(1)頂上城(ギプフェルブルク)

 人を寄せつけない円錐型をした山頂や、巨大な岩の上に建造された山城です。防備を鉄壁にする切り立った崖の上なら、なお好まれました。
 代表として、ズィンゲン近郊のホーエントゥヴィール城、ケルンテンのホーホオーステルヴィツ城があります。

(2)半島城(ツンゲンブルク)

 蛇行する川や出っ張った山地などによってできた、半島部の先端に建造された山城です。半島部を周りから隔てている崖は、下へと落ちこんで川や平地に達しています。崖になっていない側は攻略されやすく、首型堀(ハルスグラーベン)を設けてとくに堅固に守るのが常でした。
 代表に、オーデンヴァルトのヴィルデンブルク城があげられます。

【コラム】洞窟城(ヘーレンブルク)


水城(ヴァッサーブルクWasserburg)

 山や丘陵の頂上部にある山城と区別して、湖水に面した城砦のことをいいます。
 北ドイツでは、丘陵部などの要害があまりなかったので、島や半島、沼地や突出した岸辺などによく築かれました。幅の広い壕で守られることもありました。
 たとえば、現在は本来の姿をとどめていないものの、ヴェストファーレンのリューディングハウゼン近傍にあるフィシェリング城はもっとも有名です。他にも、北部ライン地方のオイスキルヘン近傍にあるファイナウ城、オランダのメイダースロート城、トゥルガウのハーゲンヴィル城、西プロイセンのレーデン城があります。

【コラム】堀の種類



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