世界観などの概要は別項で見てもらうこととして、ここでは実際に具体的なシステムを見ていきましょう。
※キャラクター作成のセクションはルールブックに対応しています。
キャラクター作成は、まず最初にそのキャラクターの姓を決めることから始めます。姓を決めるとは言っても、自由に決められるわけではありません。ルールによって決められた19の名字から1つを選びます。なぜなら、平安夜曲のキャラクター作成システムは、名字が決まるとそのキャラクターの能力や技能などがほぼ自動的に決まる、という面白いシステムになっているからです。 たとえば、安倍晴明の家系である安倍家は、ほぼ確実に陰陽師となります。
家系は大きく3つに分かれています。
・名家
藤原、源、橘などの名門の家系。
・特家
安倍、賀茂、菅原、清原、三好、大江などの特殊技能をもった貴族。
・他家
在原、小野、秦、紀といったその他の家系。
それぞれが特徴のある家系なので、能力で選ぶもよし、イメージで選ぶもよし、悩みどころです。
家柄が決まったら、次に名前を決めます。
このゲームではさまざまなチャートが用意されています。名前の決定も、自分で決められないようなら、チャートが用意されているので、それを使っても良いでしょう。
貴族にとって重要なのはその身分です。上は正一位から下は少初位まで細かく分けられています。
このゲームでは位階は名字についで重要なものです。位階によって所属する官庁内での地位が決まりますし、判定の際にも同じ達成値だった場合は位階の高い方が優先されます。また、行動順も位階の高い方が優先されます。
具体的には、これもチャートを使ってダイスを振って決めます。PCたちは殿上人ですから、従五位下以上となるわけです。ただ、初期作成時には従三位以上にはなれません。また、成長しても正三位が上限です。従二位は大納言クラスなので、こんな重要な官職にいる人がそうそう冒険をするわけにも行かないでしょう。
ちなみに、名家とそれ以外で使うチャートが違います。基本的に名家の方が位階は有利なわけですね。
位階も決まったら、次は所属する官庁の決定です。
家柄によって、所属できる官庁が決まっているので、チャートを見ながらダイスを振って決めましょう。安倍家や賀茂家などの一部の家柄は選択肢すらありませんが・・・。
官庁と位階が決定すると、自動的にその官庁での役職が決まります。それによって、技能やアイテムなどの特典を得ることが出来ますが、これは後で説明しましょう。
技能は甲、乙、丙、丁の4段階の熟練度があります。それぞれ、4レベル、3レベル・・・と思えばいいでしょう。行為判定の際には、この技能の熟練度のレベルの数だけ、ダイスが振れます。能力値も同じように表されますが、それはまた次のセクションで。
では、具体的にどのように技能を決めるのか見てみましょう。
技能は、次の3種類の方法で獲得します。
・家柄別技能
家系によって決まる技能。
・官庁別技能
所属している官庁によって決まる技能。
・好きな技能
自由に取れる技能。
ここで1つ注意があります。能力値を決める際には官庁と位階を見て、どの官職になるか見ながらやるようにしましょう。官職には技能や能力値に一定の条件がある場合があり、それを満たさないと勤められないことになってしまいます。次の能力値の決定でも同じことですので、注意しましょう。
技能の決定が終わったら、やっと能力値の決定です。
体・技・心・知・雅の5つの技能に、乙を1つ、丙を3つ、丁を1つ割り振ります。つまり、普通は丙で、得意な能力と苦手な能力が1つずつあるわけですね。
でも、書き込むのはちょっと待ってください。後で振る経験表によって能力値が上下するので、まだ書き込む必要はありません。
官庁と位階、資格から、そのキャラクターが勤める官職が決定します。官職にはさまざまな特典がついきます。位階が高いほど勤められる官職も上になり、付いてくる特典もいいものになります。
このゲームは死ぬことはほとんどありませんが、ダメージを受けるとそれなりのペナルティがつきます。このときどの程度のダメージを受けるとどのようなペナルティがあるのかを表すのが身体への影響表です。
能力値の「体」によって影響表が変わってきますので、チャートを写しましょう。
ちなみに、負傷値(HP)は10点で固定です。
気合、功績値、失態値を書き込むところですが、経験表を振ることで変わってくるので、初期の気合が3点、功績値と失態値は0点ということを覚えておいて、後で書き込めばいいでしょう。
すでに官職の特典などで、装備はもらっているはずなので、ここでは確認すれば終わりです。
性と言っても性別のことではありません。平安夜曲では女性キャラクターをPCとして使うことは出来ないので、性別は自動的に男性になります。
性(さが)とは、その人物の性格のことです。しかし、性格の全てを決めるのではなく、際だった個性を1つ決めるだけです。これもチャートがあるので、振ってもいいですし、選んでもかまいません。
振ると面白いことが起きたりもします。大抵はよくわからないことなりますが、1−2−3とか4−4−5とかを振ったりすると、危ないキャラクターができあがります。まあ、平安時代の貴族だから特に問題ないのかも知れませんが・・・(笑)。
開始時の年齢は若年、通常、往年と3種類の中から選んで、ダイスで決定します。
同じ位階の場合、年齢の高い方が優先されます。年功序列な訳ですね。
父親、母親、兄弟姉妹などを決めます。これもチャートを振るのですが、兄弟が多いと振る回数が増えて意外と面倒です。まあ、兄弟の数もダイスで決めるのですが・・・。
闘鶏、闘詩、歌合、物合の4種類の中から選びます。ゲーム的にはそれほど意味はなく、マスターとプレーヤーの趣味で使うといった感じでしょう。
最後に経験表を振ればキャラクター作成は終了です。
しかし実はこれが曲者で、3回振ることが出来るのですが、そのたびに能力値は変わるし、技能も変わるし、気合や功績値、失態値まで変わります。場合によっては変なイベントが起こって、シナリオで予定していた設定とは全然違ったキャラクターになることもあります。ただのシナリオソースかイベントのアイデアといった経験もありますが、どう使って良いのかマスターは悩むことになるかもしれません。
しかし、仕事で失敗して失態値が増えたりということから、物の怪を見分けられる猫を拾ったり、帝の妃と不倫をしたり、果ては異界へ飛ばされたりと面白いイベントが満載です。
プレイヤーは能力の上下やイベントを楽しみつつ、マスターはPCに起きた出来事をシナリオに生かすことを考えながら、経験表を振るのが良いのではないでしょうか。実際、私もこれで手に入れた功績値でもう一回経験表を振りましたし(笑)。
シナリオが終わるとPCはマスターから功績値がもらえます。この功績値を使うことによって、昇進したり、転職したり、技能を伸ばしたり、経験表を振ったりといろいろと成長することが出来ます。
また、功績値によって失態値を打ち消すことも出来ます。失態値が6点たまるとペナルティーを受けるので、早い目に打ち消しておいた方が無難です。最悪の場合は太宰府に流されて、一生そのままということあり得ますから・・・。
キャラクター作成は結構決めることが多く、手間がかかりましたが、行為判定や戦闘のシステムは非常に簡単です。
能力値の数の分だけダイスを振って、出た目の中で最も高い目に関連する技能の修正を足して、マスターの設定した難易度以上であれば成功です。
PC同士、PCとNPCが対決する場合は、両方が同じように判定を行って、達成値の高い方が勝ちます。同じであった場合は、位階の高い方、年齢の高い方が優先されます。戦闘時や呪術(陰陽道、神道、密教道などにおける魔法)も基本的な判定は同じです。
別項参照。
いわゆるヒーローポイントです。これによって失敗を成功に変えたり、負傷値を回復させたりと、いろいろと使い道があります。危機に陥ったときや最終戦闘など、決定的な場面では何度も使うことになるでしょう。
便利なこの能力ですが、常に使える訳ではありません。1Dを振って気合以下を出さないと使えないのです。