童は黄昏に問う

8月17日に行われたセッションのレポートです。

システム:新クトゥルフ神話TRPG
シナリオ:童は黄昏に問う

【概要】
PCたちは友人の塚本卓也から、妹の失踪について相談を受ける。PCたちは妹のことを知らないのだが、何度も会ったことがあるはずだと卓也は言う。奇妙な齟齬を感じつつ、PCたちは調査に乗り出した。

【PC紹介】

PC1 加賀美壮吾 25 男 超心理学者
飛行機事故からの生還をきっかけに超心理学の道に進んだ。普段はカウンセラーをしているが裏ではさまざまな研究をしている。

PC2 谷山進太郎 25 男 大学生
充実した日々を送る、就職活動前の大学生。友人が進路を決めたことに焦りつつもマイペースに勉強している。

PC3 大島洋平 25 男 自衛官
自衛官。明るく快活な好青年。正義感が強く、困っている人を放っておけない。

PC4 下山田隆 25 男 弁護士
新米の弁護士。論理的な性格で堅物。数少ない友人との縁を大事にしている。

PC5 長瀬沙織 25 女 大学院生
司法試験合格を目指している。背が低く体が貧弱なのがコンプレックス。穏やかだがキレると何をするか分からない。
【本編】

 ある夜、PCたちは友人の塚本卓也に呼び出されて居酒屋に集まり、とある相談を受けた。卓也の妹である塚本由香が、半年前から行方不明になっているというのだ。
 PCたちは彼に妹がいるというのも初耳だ。しかし卓也は、PCと由香は何度も会ったことがあるはずだと言う。妹の写真を見せてもらうと、卓也が指さす場所には赤いマネキンが写っていた。もっと古い写真には、見知らぬ少女と自分たちが写っていた。
 事件は由香の失踪だけではない。卓也は今、身に覚えのない殺人事件の容疑者として追われている。被害者の翔子という女性とも面識はなく、なぜ疑われているのか分からない。
 PCたちは由香の捜索を快く引き受け、まずは塚本の家を調べることにした。
 居酒屋に来たときからずっと、スーツ姿の男がこちらを見ていることにPCたちは気づいていた。長瀬が声をかけると、男は警察手帳を取り出し、殺人犯が現れたと通報を受けて来たのだと明かした。卓也のことだろうが、PCたちはすっとぼけてその場を去った。

 鍵を開けて塚本の家の中に入ると、部屋が荒らされているのが目に入る。金目の物はなくなっておらず、代わりに写真や手紙が根こそぎなくなっていることが分かった。
 2階には部屋が3つあり、そのうち2つは1階同様にかなり荒らされていた。残る1部屋は、家具も何もないすっからかんの部屋。PCたちは高校時代に全員この家に来たことがあるのだが、この家具のない部屋のことだけは誰も思い出せない。
 解散して帰宅する途中、大島は赤いマネキンを見た。調べようとしたがすぐに消えてしまい、何の痕跡も見つからなかった。

 翌朝、それぞれの家に警察が来て、塚本卓也について聞きたいからと任意同行を求めた。
 加賀美、谷山、大島、長瀬の4人は警察署で一堂に会した。居酒屋で会った刑事が現れ、藤岡と名乗ると、卓也について色々と質問してきた。PCたちは質問に答えたついでに捜査情報を聞き出そうと試みたが、殺人事件については何一つ話してくれなかった。
 任意同行を断った下山田は図書館を訪れて新聞を調べたが、ここ最近市内で殺人事件が起きたという報道はまったくなかった。

 5人は由香の通う大学に行ってみることにした。大学の窓口によると、由香は半年前に退学したことになっていて、なぜか詳細な記録は残されていない。大学構内で聞き込みをしてみると、由香は1か月前に不審者として通報されていたことが分かった。心理学棟3階にある荒木教授の研究室に侵入していたらしい。荒木教授にメールを送り、明日の昼に会う約束を取り付けた。
 大学図書館で加賀美が荒木教授らの論文を調べていると、お久しぶりです、と30代くらいの女性に話しかけられた。しかし加賀美は彼女と面識がない。困惑し、気まずい時間が流れる。その女性は「藤岡翔子という人物について調べるといい」と言って去って行った。
 言われるまま藤岡翔子について調べてみると、6年前に土砂崩れに遭って死亡したという記事が見つかった。その写真に写っていた藤岡翔子は、先ほど加賀美に話しかけた女性だった。そして、卓也が容疑者となっている殺人事件の被害者の名前も藤岡翔子だという。これはいったいどういうことか。

 翌日、大島は自衛隊の駐屯所で6年前の出動記録を調べた。確かに土砂崩れで藤岡翔子が亡くなったという記録が見つかるとともに、彼女が乗る車を運転していたのが荒木教授であることが分かった。
 そして、警察署にいる巡査への聞き取りなどから、翔子が藤岡刑事の娘であることが分かった。藤岡刑事は仕事ではなく個人的な理由で動いているのでは?下山田はそう推測し、藤岡に話を聞こうと提案したが、その前に荒木教授と会う時間になった。
 会うなり6年前の崩落事故について長瀬が質問したので、その話をするとは聞いてなかった、なんで急に?と荒木教授は不満を露わにした。今回の事件との関連性を説明して、一応納得してもらえたが、事故については何も語ってくれなかった。
 改めて「不審者」について荒木教授に聞いてみると、不審者云々は学生の見間違いだったと主張し始めた。同席していた学生の言葉もそれを裏付けている。PCたちはなんだか丸め込まれた気分だった。

 加賀美、谷山、大島の3人は大学図書館で、再び翔子らしき女性に会った。彼女は自分が塚本由香だと名乗った。由香は1年前に何者かにさらわれ監禁されていたが、1か月前に解放され、大学周辺を彷徨っていたという。荒木教授の研究室に現れたのも由香だったようだ。
 大島は由香が誘拐されていたことを警察に通報。藤岡刑事が来て、翔子の姿をした由香を保護した。「彼女が赤いマネキンに見えてませんか」などと質問した大島は、藤岡から薬物中毒ではないかと疑われた。

 大島が通報する少し前、長瀬と下山田は警察署を訪ね藤岡に会っていた。なぜ6年前に死んだ翔子が最近殺されたとなっているのか聞くと、翔子は植物状態になっていて最近目覚めたのだと言い出す。これは大島が調べた記録と異なっている。長瀬が問い詰めるが、藤岡は激怒して取り合わない。食い下がる長瀬を下山田が制止し、二人はその場を後にした。
 3人と合流するために大学へ向かっていると、いつの間にか複数の赤いマネキンに囲まれた。必死で逃げるが、なぜか同じ場所を堂々巡りして抜け出せない。「こっちへ」と声をかけられて逃げ込んだ先には、10年前の写真で見覚えがある塚本由香の姿があった。
 由香いわく、赤いマネキンは荒木教授の実験の産物。荒木は人間の認知の書き換えによって藤岡翔子を生き返らせようとした。由香は最初何も知らず実験に協力していたが、その目的を知って逃げているのだという。荒木の企みを止めるためには、人の認知を書き換える力の源を止める必要がある。そのために今夜研究室へ忍び込もうと提案された。2人は彼女を信用し協力することにした。

 長瀬が事情を説明すると、加賀美、谷山、大島の3人も快く協力することを決めた。
 時刻は深夜、6人は大学の心理学棟へ忍び込んだ。荒木の実験室を探し回ると実験ノートが見つかり、赤い魔石によって認識が書き換えられるという記述があった。
 数分後、谷山がそれらしき赤い石を見つけた。手に取っただけで、この石の使い方が理解できた。石の持つとんでもない力と神秘に、谷山は愕然として一時的な狂気に陥った。由香はそんな谷山に何気なく近づくと、赤い石を取り上げた。谷山は震えながらも、彼女がその石の力を使おうとしているのを見逃さなかった。
 由香を止めて、という谷山の言葉に従い、大島が赤い石を蹴飛ばした。石が割れたその瞬間、塚本由香の姿は赤いマネキンへと変わった。彼女もまた荒木教授が作った偽物だったのだ。本来は由香の不在をごまかすため作られたのだが、自我が芽生えてしまい、存在を消されないために動いていたようだ。
 いつの間にかPCたちは、塚本由香のことをはっきり思い出せるようになっていた。

 翌日の警察署はずいぶん慌ただしそうだった。署内で大量の偽造書類が発見されたらしい。藤岡刑事は公文書偽造で逮捕され、荒木教授は未成年を誘拐した容疑で逮捕された。
 PCたちは警察署で保護された女性、つまり本物の塚本由香と面会することができた。健康上の問題はなく、いずれはまた塚本卓也と一緒に暮らすことができそうだ。PCたちは胸をなでおろした。
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