摩訶不思議!輝く奇怪植物!!

システム:クトゥルフの呼び声 GM:サンダビーダ

PC紹介
PC1 上田貴之
洛北大学映画サークルに入ってきた新入生。バラ色のリア充キャンパスライフを夢見て入学したが、サークルのメンバーは妙な奴らばかりですでに諦めの境地にある。筋肉至上主義者。
PC2 中禅寺 時雄
洛北大学映画サークルの大道具兼監督。代々木こりの家系に生まれたが、外国産の木材に押される家の様子を見て、林業を改革する為に大学進学に至った。直情的な性格。
PC3 屋久座 棟一
洛北大学映画サークルの俳優。強面だが、幼少期から見ていた映画の影響で義理人情に厚い性格。
PC4 ヨギ・ラマ=レラ
洛北大学映画サークルにやってきた留学生。インドネシアの漁村に生まれたが、村の近代化への対応の為に村長の意向で日本に送り込まれた。万物は海へ還るという独特の死生観を持つ。
サークルのOB杉坂輝夫に誘われたPC達は、彼が現在住んでいる島、「全十島」に向かうことにした。自然が豊かで、昔は多くの映画やドラマの撮影場所として使われていたらしい。少し下調べしてみると、数十年前に某製薬会社が山を切り開いて工場を建設しようという計画を立てたが、地元住民がこれに反発し激しい反対運動が展開されるも建設が強行されるという事件が島で起きていたことがわかる。その工場は5年ほど前に廃業しており、今は廃墟になっているとか。
島に到着すると、杉坂や、島で民宿を営んでいる彼の叔父に暖かく迎えられる。杉坂がおすすめのスポットがあるというので彼にそこに案内してもらうことになった。
自然の息吹が感じられる木々の中を歩いていると、半ば朽ちかかった奇妙な看板が目に留まった。そこには工場のような巨大な建物と、その周り生えている植物ともキノコともわからない蛍光紫色の不気味な存在が描かれていた。また、そこには「地球防衛団 木村猪四郎」という署名がなされており、なんとも奇怪な雰囲気であった。
気を取り直して先を進んでいると、美く川が流れているところに行きついた。美しい自然の様子を見て回っていると、川のほとりに先ほど看板に描かれていたものと酷似している蛍光色の奇怪な植物が群生しているのが目に留まった。よくよく観察してみても、どういった種類のものかわからず、どうやら全くの新種のようだ。明らかに有毒で危険なものが入っているであろうドラム缶が地中に埋没しており、そのうえにこの植物が生えている。淡く光を放っている様子もあり、極めて不気味だ。
川のすぐ近くには、5年前に廃業となった製薬会社工場があった。折角だから廃墟探索でもしてみようということで、工場に赴くPC達。工場の建物はあちこちがさびついており、なるほど打ち捨てられていることがうかがえる。しかし、倉庫や工場付属の電波塔などの出入り口にはなぜか真新しい錠が取り付けられている。PC達が不思議に思いながら工場敷地をうろうろしていると、初老の男性に声を掛けられる。彼は「木村猪四郎」という元脚本家で、「地球防衛団」という環境保護団体のメンバーなのだという。彼の話に興味を持ったPC達は、これから作る映画のネタにすべく彼からより詳しい話を聞きだすことにしたのである。
木村に連れられて「地球防衛団」の本部兼彼の自宅にやってきたPC達。そこには防衛団が携わってきた環境保護の取り組みや、脚本家時代の木村の作品についての展示がなされていた。地球防衛団は件の製薬会社工場が誘致されることで島の豊かな自然が壊されることを危惧した木村ら島の有志が発足した団体らしい。最初は参加者は皆高い熱意を持っており、団結して効果的な誘致反対運動を展開できていたのだが、製薬会社の分断工作によって次第に団の力は衰え、誘致阻止に失敗、団員も木村一人になってしまったのだという。
木村が脚本家時代に手掛けていた作品も環境問題に関するものであった。「燃えろ!地球防衛団」という特撮作品で、環境破壊によって生まれた電波に乗って増える邪悪植物「マタミドロ」によって生まれた怪人たちと地球防衛団の戦いを描いた作品らしい。環境問題を前面に打ち出した作風がスポンサーの不興を買い、早期に打ち切りになってしまったそうだ。登場する怪植物マタミドロの姿は川に生えていた植物の姿に瓜二つであり、何か因縁めいたものを感じる。
様々な展示品を見回っていると、ある小道具に目が留まった。それは「燃えろ!地球防衛団」に登場する光線銃らしいのだが、引き金を引いてみたところ、殺傷力を十分に有していそうな光線が実際に発射されたのである。これについて木村を問い詰めると彼は奥の事務室に閉じこもってしまった。PC達は迷わず警察に通報。するとすぐに派出所の警官がやってきた。PC達が「警官もやってきたので無駄な抵抗はせずに投降しろ」と呼びかけると、木村は至極あっさり降参し、お縄となった。
とんでもない不審人物に出会ってしまったPC達。とにかく宿に帰って休み、明日以降に備えることにする。地元の食材をふんだんに使った料理を食べ、眠りにつく。その夜、不思議なことにPC達は皆共通の夢を見た。昼間に見つけた奇妙な植物が世界中を覆っているというなんともぞっとしない夢であった。
PC達は、誰かが部屋の扉を開けようとしている音で目が覚める。いったい何事かと思ってみていると、蟹の意匠を施した怪人の着ぐるみを着た不審人物が部屋に押し入ってきた。彼は「クラブニッパー」と名乗り、PC達に杉坂の生首を見せてた上で彼らをも殺害しようと襲い掛かってくる。彼を撃退して着ぐるみをはいだところ、その正体が民宿の主である杉坂の叔父だと判明した。その顔には例の蛍光怪植物がびっしりと生えており、明らかに異常だ。さらに外が騒がしいので見てみると、「サンダーマンティス」と名乗るカマキリの着ぐるみを着た不審人物が顔から植物をはやした大量の人間を引き連れて町の住民を無差別殺戮していた。
この非常事態に、とにかく助けを求めるなり装備を整えるなりしようと派出所に赴くPC達。途中、警官が蚊の怪人に惨殺されるという凄惨な事態を目撃しながらもなんとか派出所にたどり着くことが出来た。そこには捕まったはずの木村の姿はなく、怪人の着ぐるみが入っいたと思しき袋が放置されていた。袋の記述から、町はずれの打ち捨てられた撮影所倉庫に何か事態収拾の手掛かりがあると踏んだPC達は、拳銃などの装備を拝借したうえで倉庫に向かうのであった。
倉庫に向かう道中で、町の様子を目の当たりにするPC達。顔から他者を襲う植物人間の数は膨大な数に増えており、このままではいずれ彼らに襲われて殺されるのは明白であった。PC達は倉庫にたどり着き、そこを守っていたウニの怪人を打倒して倉庫の中へと入りこんだ。そこには木村の恐るべき計画の内容を示す資料が残されていたのだ。彼は若いころに「地球が近い未来に環境破壊によって生まれた怪植物に支配される」というビジョンを夢で垣間見、そんな事態を避けるために環境問題に対する警鐘を生涯をかけて鳴らしてきた。しかし、世間に黙殺されてしまった。彼は数年前に川に件の怪植物が生えているのを発見してそれを採取し、様々な実験を繰り返すことでその性質を把握した。木村は製薬工場に残された電波塔を利用して植物を意図的に増やし、この惨事を引き起こすことで世間に対して今一度喚起右派界の恐ろしさを訴えんとしているのだ。その過程で島の住民は全滅するだろうが、それは必要な犠牲だという。これ以上木村の悪行を野放しにするわけにはいかない。PC達は倉庫内にあった着ぐるみや、派出所の火器、そして持参したチェーンソーや銛で武装し、電波塔に乗り込むことに決めた。
電波塔の周囲には複数の怪人が警戒しており、また数多くの植物人間が集まっていた。PC達は何とか彼らの一部を退け、電波塔の木村を制圧、彼の設置した工作物を破壊し、怪植物の異常増殖に終止符を打った。植物に寄生されていた人々は皆正気付き、元居た場所へと戻っていった。彼らがふと川の方を見やると、そのほとりはわずかだがまだ怪植物が残っていた。もし人類がこのまま環境破壊を続けていたらまた同様の事態が起こってしまうかもしれない。PC達は複雑な思いを胸に家路につくのであった。
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