第一回

1.初戦
 紀元前は三世紀の半ば、シチリア統一の野望に燃えるシラクサの僭主ヒエロンは、その第一歩として北方の都市国家、メッシーナの攻略に乗り出した。PC達はその先鋒として、早速メッシーナの部隊を捕捉する。

  アナクゼオンによる作戦は、峠を挟んでの陽動及び挟み撃ち。敵が麓に差し掛かった所でまず横合いから挑発し、注意をそちらに向けておいて峠に伏せておいた兵と挟み撃ちにする、という物であった。 途中少し連携が乱れる物の、所詮は大した兵力ではなく、プルトニオスはその才能をいかんなく発揮して敵を蹴散らした。

2.ローマの影
 PC達はすぐに本隊と合流した(ここでヒエロンの傍にいたエレオノスも合流)。捕らえた敵将によると、どうやらメッシーナはイタリア半島を制した新興国ローマと手を結んだ様子。

 また、戦場の西方には漁夫の利を狙ったカルタゴの部隊も展開している。ローマの援軍到着前にメッシーナを叩くべく、本隊は急ぎ北上する事となった。PC達は少数の兵を率いてカルタゴの押さえに回る事に。
 
※合流したばかりだったが、エレオノスまたも離脱。

3.突然の一撃
 場面は北上する本隊に移る。先を急ぎつつ、ヒエロンは斥候を放っての情報収集に余念が無かった。身の軽いエレオノスにも、先行しての偵察を命ずる(「良い報告を持ち帰れたなら、今夜も可愛がってやるぞ」←この言葉に各所から「爛れてる」だの「腐ってる」だの野次が)。
 ともかく馬を走らせたエレオノスが見たのは、一万を越える大軍と、鷲の紋様が描かれたローマの軍旗だった。エレオノスは急ぎ報告に帰った。他の斥候の報告も総合すると、敵将は南イタリア統一の功労者、執政官アッピウスであるらしい。

 兵力で劣るシラクサ勢だったが、PC達を敵中に孤立させる事を嫌ったヒエロンは時間稼ぎの意味も込めて一戦交える事を決意する。案の定押され気味となり、撤退を開始した瞬間、どこからともなく飛来した矢がヒエロンに向かって飛んでくる。エレオノスは必死に庇ったが、努力むなしく矢は命中してしまう。幸い軽傷だったため、とりあえずヒエロンは撤退の指揮を取り続けた。

4.遺言
 ヒエロンを襲った矢にはどうやら毒が塗ってあったらしく、見る間に衰弱していく。どうにか道中の廃屋に落ち着き、急ぎプルトニオス等が呼ばれる。

 一方プルトニオス達はカルタゴ相手に遅滞戦術を行おうとしていたが、そこへ急使が着く。知らせを受けて急いで戻ってみれば、ヒエロンは既に瀕死の状態だった。それでもどうにか最期の力を振り絞り、プルトニオスに後事を託して、シラクサの僭主ヒエロンは逝った。

5.同盟の使者
 とりあえずシラクサ第二の都市カターニャまで撤退するPC達。そこでヒエロンの死と自分が後継となる事を発表し、今後の対応を考えていると、白旗を上げてカルタゴのガレー船が入港してくる。乗っていたのはカルタゴの武将マハルバルであった。

 単身カターニャへ乗り込んできたマハルバルは、相互の不可侵とローマに対する同盟を打診してくる。取り合えず即答を避け、一旦帰ってもらうPC達。するとすぐに、ローマの使者としてレヴィヌスがあらわれた。
 彼はやはり対カルタゴの同盟を求めてきたが、それに加えて小麦の優先購入と形式的な額の賠償金を条件として盛り込んできた。これにもPC達は即答は避け、市内に逗留させた。

6.二人の訪問者
 すぐさまPC内作戦会議開始。どちらも強力な国だけに、すぐには方針が決まらない。そんな所に二人の訪問者が。まずアナクゼオンの所にアルキメデスが訪れた。彼は南イタリアのギリシア植民都市を陥落させたローマに良い感情を抱いていないらしく、カルタゴとの同盟を薦めてくる。ただ、このアルキメデス、数学の考えすぎで疲れているのか、以下のようにどうもピントのずれた受け応えが目立った。

 「何か新兵器とかは無いのか?」
 「ああ、任せておきたまえ。私に十分な長さの棒と足場があれば、大地ですら動かしてみせよう」
 「いや、それは良いから何か役に立つ発明は?」
 「まあ、出来たら知らせるよ」

 また、もう一人の訪問者、バルトロマイオスの父オトラボンは直接会議場に現れた。

 オトラボンは見事に実った小麦を取り出し、この高品質・低価格な小麦でイタリア半島の自作農を壊滅させ、ローマの食糧供給を一手に握る事で将来的にローマに対してアドバンテージを握るように提案してきた。この二人の意見も取り入れた結果、結論としてPC達はオトラボンの提案を概ね採用してローマと同盟する事を決めた。

7.手土産
 翌日、答えを聞きに再びマハルバルがカターニャを訪れた。敵の指揮官が単身でいるのを見逃す手は無い。PC達は宴を装って連れ出し、暗殺する事にした。マハルバルは流石に途中で気付き、必死に応戦したが多勢に無勢。最後には白兵戦に参加していたアナクゼオンのレスリング技によって、首をへし折られて事切れた。

 こうして、一応当面の危機は去った。しかし、二大国の睨み合うシチリア島において、シラクサの命運は依然としてプルトニオスの双肩にかかっている…。


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