スノーエンジェル

システム:CoC7th GM:bluehorse

春の訪れに冬のシナリオのレポートを流します。

1.シナリオの概略
 真冬のある日、探索者たちは長野県にある桜花スキー場を1泊2日で訪れていた。二日ともウィンタースポーツには絶好の快晴との予報だった。目いっぱいスキーを楽しんだ一行はロッジで眠りにつくことにするが、食事時に管理人から意味深な話を聞かされる。次の日もスキーを楽しもうとする一行だったが、突然の吹雪に見舞われ道に迷ってしまう。突然爆発音がしたかと思うと、上から雪崩が滑落してくるのが見える。命からがら何とかロッジに辿り着いたものの、多量の雪により外に出られなくなってしまう。更に雪だるまの化け物が襲って来る。化け物を倒し外に出たが、遠くから呪文の詠唱が聴こえてくる。このままではイタクァが召喚され世界は闇に包まれてしまう。イタクァの従者である老人を倒すと、召喚は中断され、空は快晴に戻る。


2.登場人物
遠藤彰二
スキー場のペンション管理人。
30年前、スキー場の管理不足によって起きた事故で娘をなくす。
謎の男
前桜花スキー場の管理人、当時全盛にあった開田財閥の会長でもあった。
松井千恵
ルポライター。
幼い頃にスキー事故に巻き込まれるも間一髪のところで助けられる。
PC1.市原濠
山育ちでアウドドア好きの大学生。
PC2.林藤基
脱サラしてマタギとなった初老の男。
PC3.梓沢みのり
情報を追い求めるジャーナリスト。
PC4.額賀陽寿郎
チャカを持ち歩くヤクザの若頭。

3.シナリオの流れ
4人はペンションに辿り着く。そこではスキー旅行の前夜パーティーが開かれていた。
松井「あら、あなたたちも今回のツアー客?''ラッキー''だったわね、お互いさまに」
松井「私は松井千恵。気軽にチエって呼んでね。ルポライターをやっていて、全国を回って記事を書いているの。」
4人は松井と自己紹介をしあう。ジャーナリストの梓沢は松井の話に興味を持つ。
松井「あなたたち、このスキー場で何があったか知ってる?」
このスキー場では1982年1月12日に事故が起こったのだ。
朝から快晴だったその日に、スキー場がスキー客らで賑わっていたところに、突如として吹雪と雪崩が発生。
逃げ遅れたスキー客らが巻き込まれ、2名が死亡、10名が行方不明というスキー場で起こる事故としては最悪のものとなったという。
過去のことだからと流すような調子を見せる4人。そこにペンションの管理人が訪れる。
遠藤「やめてくださいよ、せっかくの前夜パーティーだというのに」
管理人は鍋を抱えてくるが、途中で2階から響いた物音に一行は驚く。
遠藤「ああすみません、奥で私の父が眠っているんです」
遠藤「皆さんとも顔を合わせてあげたかったのですが、車いすの状態で、ほとんど寝たきりでしてね」

夜になり半ば解散という形になると、梓沢は松井の部屋を訪れた。
松井「特に気がかりなのが、十数人を一気に巻き込んだという雪崩ね。」
松井「もちろん開田リゾートの杜撰な体制で人工雪が過剰に積もっていた可能性があるけど、
松井「どこをどう調べても、雪崩の発生スピードと量が異常なの。
松井「まるで爆弾でも使って意図的に発生させたかのような」
松井「それに、現場では雪の中を動く化け物が出たっている話も...」
松井「ごめんなさい、まくしたてちゃったわね。」
梓沢は夢でも見たのではないかと言い、支離滅裂な松井の話に対して戸惑いを覚える。

その頃額賀は2階の管理人の父の部屋を訪れていた。
管理人が寝たきりの老人を寝かしつけていた。
その老人の手足のない様子に額賀はひどく狼狽える。
遠藤「私の父も事故に巻き込まれましてね...」
そういうと外で犬の散歩をしていた林藤も管理人のもとにやってくる。
散歩をしていると雪の中に「スノーエンジェル」の跡を見つけたというのだ。
3人は外を探索するが、そのような跡は見つけられなかった。

次の日4人は予定通りスキー旅行を満喫する。
だが午後に差し掛かった辺りで突然の激しい吹雪に見舞われ、前後不覚に陥る。
なんとかペンションに戻ろうとしたとき、4人を雪だるまの形をした化け物が取り囲む。
化け物は倒しても倒しても湧いて出てくるものであり、4人は逃げる他なかった。

何とかペンションに逃げこんだ4人だったが、ペンションの中に人の気配はない。
部屋を探しても人一人おらず、更に雪崩が発生してペンションの中に閉じ込められてしまう。
何とか窓から脱出しようとしても、外には雪だるまの化け物が無数にいるようだ。
ひとまず4人はペンションを探索し始めたが、2階の管理人の部屋に訪れた額賀は部屋の異常な様相に驚く。
部屋の至る所に氷が張り巡らされ、沁みこむような寒さが額賀を包む。
更に中央の椅子に座っていた管理人の父が振り返ると、その体が雪で覆われ始めたのだ。
遠藤の父「かわいいなぁ...かわいいなぁ...」
うわごとを呟く遠藤の父の体は「雪男」のものに変化する。
額賀はもしものために持ち歩いていた拳銃を用いて雪男を撃退する。

管理人の父の部屋を探索するとマスターキーを見つけ出す。
それを用いて管理人の部屋を開くと、驚くべき情報の数々が隠されていた。
何と管理人は事故で娘が行方不明となっていたのだ。
その犯人は管理人の父とされていた人物であり、彼は本当は管理人の父ではなく、管理人によって囚われ父の振りをさせられていたのだ。
遠藤は更に、謎の邪神「イタクァ」を呼び出すことで娘を蘇らせようとしていた。その依り代となるのが松井であるようだ。
なおこのときイタクァの情報に触れた林藤は、宇宙的存在を感じるような悟りを開き、記された情報がイタクァの召喚と退散のものであることを読み取る。

遠藤の真意を知った一行はその目論見を止めるために行動を開始する。
絨毯の下にあった転移魔法陣を用いると、山の頂上にある遠藤のもとに辿り着く。
遠藤「まさかここまで辿り着くとは...だがここで終わりだ!」
遠藤は雪だるまの化け物を召喚し、更に松井の肉体を雪女のものに変え使役する。
4人はペンションにあったショットガンや拳銃を用いて応戦するが、雪女に命中した弾丸はそのまま松井にダメージを与えてしまうのだった。
松井が息絶えたことで遠藤の野望も終わる。
召喚されかけたイタクァも、超常的な悟りに達した林藤の指導により退去させることに成功する。イタクァが退散すると鉛色の空は晴れ渡った青色の空になり、一行は下山することができた。残った死体は額賀がヤクザのコネで処理し、ひとまず一行は平穏を迎えることとなった。だが真冬のペンションで起きた事件は、4人のその後の人生に影を落とすことになった。
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やべーやつが村に来た

やべー奴が村に来た
GM:五月の黒いうさぎ
システム:新クトゥルフ神話TRPG

探索者たちは京都府北部の山村、美川村の住人である。元は寂れた村だったが、地域おこしが盛んであり新規移住者も増えている。さらに村おこしの一環として、試験的に村全体を5Gエリアにする計画まで進行中である。そんな中、村にある夫婦が引っ越してくるが、彼らはどうにも様子がおかしく……

PC紹介
PC1:小間沢洋介 27歳 男 最近村に来た若手農家
PC2:茂田源治 69歳 男 ハイテク農業ジジイ
PC3:源須流歌 31歳 女 村の電気修理屋
PC4:野高武夫 42歳 男 派遣されてきた技術者

 5Gエリアの実装まで残り数日を切ったある日、美川村で農業を営む小間沢と茂田の二人の元に、農家仲間の酒井という男が訪ねてくる。最近越してきた夫婦、丸内夫妻のことで相談があるという。彼らはどうやらジャガイモを作ろうとしているようだが、「無農薬・自然農法」にこだわっており農薬を一切使っておらず、そのくせまともな知識もなく育てられていないという。
 見かねた他の農家が助言をしようにも、話が通じず取り合ってくれない。しかしそうは言っても、病気や虫に発生されては他の農家も困るので、一度小間沢や茂田も一緒に来て彼らに注意してくれないか、という話だった。一行は翌日彼らが村民会館で開くらしいサロンに行って注意する事になった。

 一方その頃、源と野高は従事していた5Gエリア構築の作業も大方終了し、後は来週の実装を待つだけという段階になって村役場の人から相談を受ける。どうやら丸内夫妻という人たちが何度も5G反対と苦情を入れてきており、なんとか工事は終了したもののこのままでは来週の実施に影響が出かねないというものだった。二人は彼ら夫妻に対して説明を行うためにサロンへ行くこととなった。

 当日、村民会館の前で合流した探索者たちは丸内夫妻のサロンの元へと向かったが、何を言っても彼らは話を聞き入れなかった。数人はどうやら反コロナ派のようでありマスクすらしていなかった。小間沢と茂田が、夫妻の紹介していた「自然農法」を謳う農法の間違いを指摘するが、彼らは自分たちが間違っているわけがない、自分たちのことが認められないから嫌がらせをするんだろうとまともに話すら通じない。そんな中、探索者たちは彼らが育てているというジャガイモの種芋に目がとまった。夫妻はそれを「宇宙からの力が秘められた芋だ、なんかミゴさんとかいう人からもらったんだ」と言っていたが、それは既存のどのジャガイモとも違う品種である事が理解できた。

 もはや相互理解は不可能だという結論に達した探索者たちが帰ってから数日後、ある朝探索者たちが目覚めると村全体が濃霧に包まれており、電波や電気が全て遮断されている事に気がついた。慌てて外に出ようとする探索者たちだったが、ふと彼らの心の中に「ここを離れたくない
」「家の中にいたい」という考えが湧き上がった。
 探索者たちが無理矢理に外へ出ると、そこは10m先も見えないほどの濃霧と、歪に成長していた植物を目にした。合流した探索者たちはなんとか村の外へと出ようとするが、再び探索者たちの心の中に「村から離れたくない」という強い思いが湧き上がった。茂田と野高がその思いに打ち勝ち、村の外へと車で出ようとしたが濃霧の中を走っているうちに再び元の村の入り口に辿り着いてしまった。そして霧の中に、巨大な甲殻類と羽虫の混ざりあったような生物のシルエットを発見してしまった。

 村の外へと出られないことが分かった探索者達が村へと戻ると、憔悴仕切った丸内の夫が現れた。「あなた達、なんなんだこれは!」「妻をどうしたんだ!そうか、そうか僕たちが邪魔になったのか!」「早く逃げないと、ヒャハハハ…」と、とても正気ではない様子でどこかへと走り去ってしまった。不審に思った探索者達が丸内夫妻の家に向かうと、先日まではそれなりに生えていたはずの畑のジャガイモが全て消え去っていた。家の中を探索するうちに、夫妻の寝室で妻の死体を発見した。その死体は、先日までの若々しい姿とは打って変わって全身が灰色に萎び、ひどい皺とひび割れに覆われた姿だった。

 さらに探索を続けると、夫のものと思われる手記を発見した。内容は、村に来る前にある人からジャガイモの種芋を分けてもらったという事、そして育てているうちに突然全て枯れてしまった事が書かれていた。源と野高はそれを読んで、ジャガイモが枯れた日が5G電波を試験的に発した日だという事に気がついた。また、夫妻が以前紹介していた種芋の説明書を発見したがそこには一定の周波数帯の電波に弱いので気をつけるようにと書かれていた。

 夫妻の家を後にした探索者達は村の役場の職員から、電波障害が起こっており電波基地局の様子がどうにもおかしい、詳しい源と野高が行って調査を頼みたいと言われる。村外縁部の基地局へ向かおうとする探索者達だったが、途中でますます霧が濃くなっていった。車では危険と判断した探索者達は途中から徒歩で向かうが、やがて基地局の側にたどり着くとオゾンの匂いとともに霧の中に無数に輝く光に遭遇した。それは明らかにこの地球の存在ではなかった。物質的な物ではなく、しかし明らかにそこに存在する何かであった。

 謎の異常存在に体力を吸われながらも、電波基地局の内部に入り込んだ探索者達は、一部損傷した機械を迅速に修理し、5G電波の発信に成功した。その途端、窓の外の霧が段々と晴れていき、やがて村は元の姿を取り戻した。
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