チョコレートは明治

システム:マギカロギア
シナリオ名:甘美なる嫉妬の雪
2月18日に行われたセッションのレポートを流します

シナリオ概要:2月14日の朝、不二家町という街に空からホワイトチョコレートが降り始める。
人や物がチョコレートと化す中で、魔法使いであるPC達は事件を解決するために動き出す。

キャラクター紹介:
PC1 風間響(かざまひびき) 21歳の男性 経歴は訪問者
民俗学を専攻する大学生、魔法災厄に巻き込まれて魔法使いになったばかりで、過去の経験から魔法を恐れている。

PC2 小坂渚(こさかなぎさ) 20歳の男性 経歴は司書
魔法使いの一族に生まれたが、人間社会に興味を持ち、高校生として人間社会に馴染んでいる。

PC3 宮藤芭蕉(みやふじばしょう) 137歳の男性 経歴は書工
実直な普通の魔法使い、会社員として社会に紛れている。

PC4 浅田正嗣(あさだまさつぐ) 600歳以上の男性 経歴は書警
経験豊富な魔法使い、戦いに生き、若い魔法使いを温かく見守っている。

シナリオ:
2月13日の雪降る夕方、風間は、千代子とその母が鼻歌を歌いながら手を繋いで帰っているところに出くわす。
風間は挨拶をした後千代子達に寒さに気をつけるようにと言う。

小坂は登校途中で友達の甘楽と小栗に会う。小栗がチョコをもらえないことを嘆く一方で、甘楽は「チョコが多くもらえるのはありがたいが困る。」と語る。
会話に興じて始業時間ギリギリになったことに気がついた3人は急いで学校に駆けていく。

宮藤はテレビをつけると大正という近所のお菓子工場のCMが流れており、その急な発展ぶりに驚く。違和感を覚えた宮藤は大正工場について調べ始める。

書警である浅田は司書に呼び出され、不二家町で異変が起こっていること、ショコラティエという書籍卿がそれに関わっていることを知らされ、事件の解決を依頼される
不二家町には現在侵入は出来るが脱出は出来ないことを知りつつ浅田は外套を羽織って出発する。

風間が課題の為の調べ物をしながら外を見やると、街に雪のようなホワイトチョコレートが降り注いでいることに気が付く。
彼は異郷の感覚にかつてのトラウマが刺激されて恐怖するも、一人の魔法使いとして立ち向かうことを決意する。
その時チャイムが何度も鳴り千代子が助けを求めてくる、千代子と共に千代子の母の元に向かうと母がチョコレートのようになってしまっているのだった。
風間は「これは夢だから一晩眠れば元に戻っているよ。」と千代子を安心させ、家に返す。

小坂は体育の授業中に三角コーンがチョコと化していることに気づくが、他の者は異変に気がつかないことに違和感を覚える。

合流したPCたちは情報を交換し、作戦を立て始める。
「自分も戦わなければ。」と断章や書籍卿と戦う決意を固める風間に対し、「千代子を助けるために動いて良いんだ。」と浅田は諭す。

風間が自身の過去の経験を思い出し、風を用いた感知魔法で千代子を調べた結果、千代子に断章「雪」が憑依していていることが判明する。
自分の手で千代子を助けたいと語る風間の覚悟を浅田達も後押しする。

断章に取り憑かれやすい、願いを持つ者に心当たりがあった小坂は友人である小栗に電話をかける。
小坂がチョコは貰えたかと尋ねると、小栗は貰えなかったと返し、沢山のチョコを貰っている甘楽と自身を比べる。
小坂は移り変わる会話の中から情報を引き出し、小栗に断章「嫉妬」が憑依していることに気が付く。

小栗と対峙した浅田は、「俺の隣にあいつがいるから……。」と言おうとする小栗に「それで襲ってしまいたいというわけかい」と言う。
浅田は内心を言い当てられ動揺する小栗に対し、「化かし合いはこのくらいにしておこうか。」と言って魔法戦を開始する。
その後ファンブルをしてしまい浅田のアンカーが借金を背負ってしまうが、憑依していた断章「嫉妬」を回収することができた。

断章の憑依が解け正気に戻った小栗に浅田は「まあなんだ少年、失敗したのが若い時でよかったな。」「いくらでもやり直しはきくのだから。」と語る。

宮藤は工場の秘密を調査し、ショコラティエがそこにいることを突き止める。

小坂が甘楽に電話をかけ、「元気がないね。」と尋ねると、甘いものが好きではないと甘楽は明かす。
コーヒーなどの苦いものと一緒に甘い物を食べてはどうかと提案し、「困ったら連絡してくれよ。」と小坂は言う。
小坂は甘楽が工場長の息子であることを突き止め、出入りに必要なカードを手に入れる。

「姿を現せ。」と風間が言うと、「あなたの身も心も凍らせてあげる。」と断章「雪」が現れ、魔法戦が始まる。
戦闘に勝利した風間は、「チョコレートは明治、この呪文を3回唱えて眠ると全部解決しているよ。」と千代子に言う。

PC達はショコラティエと対峙する。
お菓子の素晴らしさを語り街の人や物をチョコにしたことを悪びれないショコラティエに対して、「甘いものが苦手な人もいる。」「それは人を傷つけて良い理由にはならない。」「街の人々の方が大切だ。」と風間、宮藤、小坂は反論する。
その後、戦闘に勝利したPC達は断章の回収には成功したが、その隙にショコラティエは逃げてしまう。

全ての断章を回収したPC達は禁書「甘美なる嫉妬の雪」に魔法戦を挑み、浅田と風間が削った禁書に対して小坂が止めを刺して封印に成功する。

エンディング:
小坂がアドバイスしたように、甘い物も苦いコーヒーと一緒にならなんとか食べることが出来そうだと甘楽は言う。
それを聞いた小栗は「羨ましいというんじゃなくて、俺が人気者になれるように努力した方が良かったのか。」と悟り、小坂に対して自身がモテない理由を尋ねる。
「言動が残念だと聞いたことがある。」と返す小坂の言葉に納得した小栗は、それを改めようと考えるのだった。

「あれ本当に夢だったのね!」と母に話す千代子。
チョコレートは明治という呪文を教えてもらったと言う千代子。
「夢の中でね。」と風間がとぼけると、「夢の中のお兄さんにありがとうって伝えて。」と千代子は返す。

こうしてバレンタインに起きた事件は4人のmageたちによって無事解決されたのだった。
セッションレポート | comments (0)

秘密を持つ者たちの旅立ち

本記事は持ち回りキャンペーン(PLが一話ずつ順番にGMをする形式のキャンペーン)の一部抜粋です。

◆PC紹介
PC1: ザック
シャドウのグラップラー/スカウト/エンハンサー。
笑顔を絶やさない青年なのだが、なんとなく怪しく、良心からの発言が悪いようにとられるのが不憫。「夜道にはお気をつけて(善意)」
秘密: 実は暗殺を生業とする組織を抜けてきた。大切な人を手にかけたことがある。

PC2: ピオニー
「一見人間」のライダー/ファイター/エンハンサー。
明るく元気な少女。暑くてもマントを決して外さない。
秘密: 実は蛮族(ガルーダのウィークリング)。マントを外さないのは蛮族の証である翼を隠すため。

PC3: ルーカス
アルヴのプリースト/ジオマンサー。
強い思いを持つ純真な少年。眼帯をしている。パーティーの癒し枠。
秘密: 家を出てから船に着くまでの記憶が無数にある。それは一体何を意味しているのだろうか?

PC4: クロノア
エルフのマギテック/シューター。
早撃ちが得意で空飛ぶ鳥を軽々と射抜いて見せる。少し自信家。
秘密: 名家の出だが、命を狙われた過去から正体を隠している。内心では他者への恐怖と疑念が渦巻いている。
GMと兼任。

PC5: ルドス
メリアのコンジャラー/セージ/レンジャー
持って回ったような言い回しを好むが、実際には裏表がない人物でお人好し。
秘密: 本人に自覚はないが、その出自には迷宮が深く関わっているらしい。

NPC1: キャメル
実力と人望を備えた船長。PCたちが乗る船(キャメロット号)を発見した人。

NPC2: シーラ
補佐官かつ技術者。最近船の中で発見されたルーンフォーク。なぜか記憶がかなり失われている。
続きを読む>>
セッションレポート > ソード・ワールド | comments (0)

森の異変を解決せよ

システム:SW2.5

4月23日に行われたセッションのレポートです。

PCたちは街の新人冒険者である。
とある村の近くにある森の様子がおかしくなり、その原因を調べに行った猟師が行方不明になった。
村長からの依頼を受け、PCたちは村へと向かう。
続きを読む>>
セッションレポート > ソード・ワールド | comments (0)

妖狐は夢見心地

シナリオ名「妖狐は夢見心地」
システム「シノビガミ」
GM神

夜の京都
里見馬琴という男が儀式を行っている。
「ようやくあなたと会える……この時をどれほど待ち望んだことか…」
そんな呟きは夜の京都に消えていった。
時期を同じくしてよく遊ぶグループであるPC達は京都へ旅行へ来ていた。
観光を続けていると伏見稲荷大社に重症の忍獣の「ごん」を発見する。敵意を感じなかったこともあり、一度治療し話してみるとなぜかはわからないが、橘ノノアにとてもよくなついていた。
そんなPCたちの元に矢文が届く。
その内容を確認すると
「こちらは鞍馬神流。現在京都にて「里見馬琴」という男が儀式を行っているのでその討伐を依頼する」
と書いてあった。周囲でこの任務を受けられるのは自分達だけのようなのでPC達は調査をすすめることになった。
PC紹介
PC1:橘ノノア 旅行を企画した明るいJK
PC2:柚木翼 PC1に振り回されつつも仕事はきっちりこなす男
PC3亜門鋼太郎 魔王流らしい男

PC達は京都旅行が突然忍の任務になってしまったことを残念に思いつつも、しぶしぶ調査を進める。かわいがっていた「ごん」が実は妖魔であることが判明し、妖気を持つプライズを持つことが明かされる。この時、急に「ごん」の様子が急に変わり、可愛らしい印象とは真逆のいかにも妖魔といった雰囲気になった。これに対する三人の反応もかなりバラバラであった。「ごん」になつかれていた橘は「ごん」と協力する道はないかと模索しながらも、「ごん」と戦う道を選択するが、この時、橘はなぜか妖魔の力を使えるようになっていき、驚きを隠せない状態にあった。柚木も「ごん」がもっていた刀が必要であることから、「ごん」とは戦うことになったが、その過程で橘へ思いを寄せていることがみんなへ判明する。亜門は実は橘を監視する立場にあるため、監視をしつつも、仲良くすごした橘のことを疑いきれない様子であった。メイン戦闘が挟まり、「ごん」が大ダメージを負う形で三人が勝利し、刀は三人が獲得した。メインの感情判定では仲良しと言いつつ、橘から柚木、亜門に向けられた感情は負のものであり、本当に仲がいいのか!?と突っ込む場面はあったが、こうゆう軽口も叩ける間柄ということだろう(実は鬼道という忍法を生かすためであった)。そして明かされたのは里見馬琴が「九尾」を復活させようとしていることと、橘が「九尾」にのっとられようとしていることだった。実はこれを防ぐために亜門は橘に記憶の封印をしたのだ。その封印が解け、乗っ取りが進んでいたが、それをふせぐために力が「ごん」から回収した刀にはあったのだ。その刀を使い、橘は「九尾」という強大な力を手放し、里見馬琴、そして「ごん」と戦うことを決意する。クライマックスでは、橘、柚木、亜門、そして里見馬琴と「ごん」との戦闘だったが、早々に「ごん」を倒すことに成功する。何百年も生きた里見馬琴に苦戦するものの、三人で結んだ感情をうまく生かし、隠忍の血統、比良坂機関、鞍馬神流というシノビ世界では仇敵関係にある三人の協力し倒すことに成功する。無事里見馬琴を倒した三人は任務を果たすと同時に目的である、三人で再びこの先を歩むことになるのであった。
セッションレポート | comments (0)

ハーラン・エリスンへ

システム:パイレーツ!WILDWEST GM:初代ボブ

●システム紹介
パイレーツ!の追加オプションシステム。
アメリカ西部開拓時代の荒野を生きる男たちが主役。

●PC紹介
PC1 ダグラス・モーティマー 男 38歳 (PL:bluehorse)
妻を寝取られたバツイチ。女ってのは信用ならねぇ。
PC2 リー 男 25歳 (PL:へんでろぱ)
中国人脱走労働者。母から授かった刀を手にガンマン蔓延る西部を生きる。
PC3 イワン・スミス 男 21歳 (PL:ストライプ)
親の借金を返す苦労人。返済が終わったら田舎で静かに暮らしたい。
PC4 ヘクター・レイノルズ 男 28歳 (PL:にかわ)
元雑貨屋スリルジャンキー。銃弾が頭をかすめる瞬間こそ至高。


●本文
【憎む町】
 南北戦争が終わって半年、彼の悪名高き賞金首ドレッド・ドレッドソンを追って4人の賞金稼ぎチームがポートダルの街を訪れる。到着した彼らを迎えたのは女子供老人しかいない寂れた町と、人々の冷ややかな視線だった。一行が首をかしげていると、突如ならず者二人が街を襲撃する。これを難なく撃退した一行は、先ほどとはうって変わって態度を軟化させた街の人々に“英雄”として歓迎されるのだった。
 街の人々によると先ほどのならず者は南北戦争の敗残兵たちであり、戦争で女子供老人ばかりとなったこの街にやってきては好き勝手を働いているのだという。
拠点の位置を吐かせるためにこの街唯一の保安官は捕らえた二人の男を保安官事務所の拷問室へと引っ張っていく。ドレッドの情報が何か聞けるかもしれないと踏んだ四人はこれに同行した。

 拷問部屋では保安官によって男たちが無慈悲な暴力を振るわれていた。その苛烈さとは対照的に、保安官の表情は一切の感情を消し去ったかのようだった。リーとヘクターがその様子を静観する一方、ダグラスは保安官には目もくれず、物珍しそうに拷問器具を眺めている。荒事を好まないイワンはいたたまれなくなって早々に酒場へと引き返していった。
 拷問は時間の経過とともに激しさを増していく。傍観者を決め込んでいたはずの二人がそれとなく保安官を宥めるが、彼はその手を緩めようとしない。ついにヘクターも耐えかねてその場を後にしようとしたとき、下っ端が泣き叫びながらアジトの場所とそこの装備であるガトリングガンについて明かした。ドレッドの情報ではなかったが、とりあえずの拷問の成果を得られたという事で、血に染まった保安官を残してダグラスを引き連れた二人は足早に拷問部屋を後にする。

 一足先に酒場に戻っていたイワンは街の人々に“英雄”としてはやし立てられていた。どうやら今日の夜、彼らのおごりで歓迎の宴を開いてくれるらしい。ドレッドの情報が得られないかという打算のもとイワンは世間話に参加する。すると、賊の頭領がどうやらドレッドであるらしいという事が判明した。他にも何か情報はないかと先ほどの賊についての話をしていると、突然老人が騒ぎ出した。
「あいつらもクズだが、ジェームズはとんでもないクズなんじゃあ!」
「おい、爺さん。そいつの名前を出すんじゃねぇ。」
 酒場の主人は苦々しい顔をして老人をたしなめる。
 前触れなく現れた“ジェームズ”という名前について町民に尋ねるイワンだったが、みな一様にその詳細を話そうとはしない。何を聞いても暗い表情を深めるばかりだ。イワンは茶を濁して宿として与えられた酒場上階の部屋へと引き上げるしかなかった。

【裏切り者ジェームズ】
 イワンが与えられた部屋でくつろいでいると、保安官の拷問を見守っていた三人が引き揚げてきた。町民との世間話の内容を共有したのち、彼らは酒場での宴へ向かう。そこには昼間姿を見せなかった人々も集まり、相変わらず女子供老人だけではあるが、それなりに賑わっていた。宴が盛り上がってくると、酒場のマスターが拷問に立ち会っていた三人に尋ねる。
「それで、あいつらの拠点はいったいどこにあるんだ?あのクズども、やっぱり口を割ったんだろう?」
 四人は子供たちに聞かれないよう外に出したうえで、残党たちの拠点の場所を町民たちに告げ、同時にそこに向かって彼らを蹴散らすつもりだという事を伝えた。それを聞いた町民たちは沸き立ち、ため込んだ賊への恨みと罵倒を口々に叫ぶ。それに混ざって、昼間イワンと話していた老人の声が響いた。
「あいつらもクズだが、ジェームズはそれ以上にクズなんじゃあ!」
 老人の言葉に、盛り上がっていたはずの人々は途端に沈んだ様子を見せる。唇をかみしめ、こぶしを握り、その話をするなと老人に諭す。
 イワンが酔いつぶれた老人を外に連れ出すが、白け切ってしまった酒場はとても宴を続けるような雰囲気ではなく、残った人々も続々とその場を後にした。酒場に残ったヘクターがマスターにジェームスという人物について尋ねるが、やはりはぐらかされるばかりだった。

 一方そのころ、イワンは道端で泥酔した件の老人を介抱していた。
「で、ジィさん。そのジェームスってやつは結局誰なんだ?」
 その話をするのを頑なに拒む町人は今一人もいない。イワンに促されるままに老人は、ぽつり、ぽつりと語りだした。
 昔のこの村はどこにでもある普通の村で、今のように女子供老人だけというわけではなかった。状況が一変したのは先の南北戦争からだ。徴兵されたこの村の男たちは、情報部隊に配属された一人を除いて、皆同じ部隊に配属されていた。情報部隊の男はその後運悪く敵の捕虜となり、拷問の末に同郷の男たちが所属していた部隊を壊滅に追い込む情報を提供してしまった。この情報部隊の男こそがジェームズだったのだ。町の人々は皆ジェームスを恨んでいるのだ。自分の夫を、息子を、父を殺したのはジェームズだと。
 
 イワンがこの村の真実を知る少し前、酒場の路地に面した裏口では、店主の怒号が響いていた。ぼろ布をまとった老婆が残飯をあさりにやってきていたのだ。振り上げられた店主の右腕を前にして、老婆はしわがれた悲鳴を上げる。あまりに哀れなその姿に、リーとヘクターは店主を宥め、自分たちに免じて彼女を見逃してほしいと頼み込む。しぶしぶといった様子で店主はそれに応じ、老婆は逃げるようにその場を去っていった。

 老人を送り届けたイワンは、その帰り道、昼間宿の窓から見て興味を引かれていた町はずれの洞穴へと訪れた。洞穴の中からは異臭が漂い、その入り口には腹を開かれたネズミが転がっていた。明らかに何か生き物の気配がする。イワンが洞穴に向かって声をかければ、その奥からおびえた様子の老婆が現れた。それは先刻酒場にて罵られていた老婆だった。
こんな場所に人がいることを不思議に思ったイワンが訳を聞けば、なんと老婆はあのジェームズの母親で、息子を恨む町の人々によって村八分にされているのだという。
 夫はすでに村から逃げ出し、身寄りも、この街を出るすべすらないと語る老女は、「せめても」と自分の息子の名誉の戦死を望むほどに追い込まれていた。不憫に思ったイワンは、自分が依頼を果たしてこの街を出るときには彼女を連れていくと約束した。

【ならず者討伐】
 翌日、保安官の協力のもと装備を整えた賞金稼ぎ一行は意気揚々と賊のアジトへと向かった。
聞いていた通り、ドレッド・ドレッドソンをリーダーとした14人の盗賊たちが町の近くにガトリングガンを備え付けたアジトを構えていた。
 イワンとヘクターはライフル片手に遠距離から敵をひきつけ、その間にダグラスが近接戦闘を得意とする青龍刀使いのリーを自慢の名馬に乗せて、ガトリングガンへと迫る。
 万全を期したはずの戦闘だった。しかし、彼らは14という数を見くびりすぎていた。最初こそ何人かの賊を倒し善戦していたが、やがてヘクターとリーが相手の銃弾を喰らい、意識を失った。ダグラスもかなりの重傷だ。何とか抵抗を続けるイワンへ頭領であるドレッド・ドレッドソンが痛み分けという形での決着を申し出た。これを受け入れ、一行は命からがら町へと帰ることとなった。
 この時回収できなかったリーの青龍刀は、母親の形見だった。

【帰還】
 戻ってきた一行を街の人々は広場にて歓声とともに出迎えるが、賊の砦で起こったことを説明すれば、困惑と失望の表情を浮かべた。広場にいる誰もが言い淀んでいたその時、一人の松葉杖の男が現れる。左足首から先を失ったこの男こそ、街の裏切り者ジェームズだった。
町の人々は先ほどまでのやり取りを忘れたかのように、ジェームズに恨みのこもった視線を向ける。しかし、ジェームズはそれに対して何も気が付いていない様子だ。今にも手を出しそうな村人たちをイワンが「最後くらい母親に会わせてやってもいいだろ。」と説得し、何とかジェームズを広場から連れ出した。
村人たちの目から逃れると、一行は町の人々の本当の思惑をジェームズに伝える。真実を知ったジェームズは、一行と共にこの町を出ることを決断した。この街に戻ってきたのも自分の母親のためで、彼女もいっしょに連れて行ってくれるのならば思い残すことは無いのだという。
 ジェームズを送り届ける道中、ヘクターは面倒ごとに首を突っ込むものではないとイワンに諭す。リーもそれに同調するが、イワンは引かなかった。
「イワンがいなかったら賊との戦いで死んでいた。どうせ拾った命だ。君の選択にしたがうよ。」
 ヘクターのその言葉をきっかけに、四人の目的は一つになった。

 ジェームズの母親のいる洞窟にたどり着いてその奥へ声をかければ、老女が顔を出し、ジェームズを見て目を丸くした。みすぼらしいその姿を見て駆け寄り、いたわりの言葉をかけるジェームズとは対照的に、老女は激昂する。
「お前さえ裏切らなければ!お前さえいなければ!私がこんな目に遭うことは無かった!」
「お前が死ねば私はまた街に受け入れてもらえる!死ね!お前が全部悪いんだ!死ね!死―ね!死―ね!死―ね!」
ジェームスは失った自分の左足を見つめて立ち尽くす。毒々しい模様の黒い蛇がその足元に纏わりつく。その時、こわばったジェームズの腕をイワンがつかみ、半ば無理矢理に洞穴の外へと連れだした。蛇はするりと洞穴の暗闇に溶けていった。
 外へ出た彼らを待ち受けていたのは銃を抱えた町の人々だった。その眼には老婆と同じく憎しみの色が宿っている。
「そいつを置いて行ってくれ。あんたたちは一度とはいえ賊からここを守ってくれた。手荒なことはしたくない。」
 賊を拷問していた時と同じく無表情な保安官が、銃を向けながら一行を説得する。
「本当にみんなのことを思っているのならば、拷問なんかには負けない。」
「自分だったらそんなことはしない。」
 町民たちは心無い言葉をジェームズに投げかけ始めた。ジェームズはただ自分の失った左足を見つめている。果たしてこの中に同じ状況で彼よりも立派に行動できる人間は、何人いただろうか。黒い蛇が再び現れ、ジェームズの足元でとぐろを巻いた。
 銃口を突きつけられ、5人は立ち尽くす。しかしその時、ダグラスだけが一歩前に進み出た。
「こいつは全くの他人に違いないけどなぁ、俺には信頼していた奴に裏切られる気持ちってのはよぉくわかる。」
「このセリフ、一回くらいは言ってみたかったんだ……ここは俺に任せて先にいけぇ!」
 その言葉に背中を託し、一行は馬に飛び乗る。馬をうまく操れないジェームズはイワンの後ろに乗せられた。彼の足元にいたはずの蛇はいつも間にか姿を消していた。
 ダグラスが何とか足止めをしているが、それでもいくつもの銃弾が馬上の彼らに向かってくる。そのうちの一つが、ヘクターに命中した。それを放ったのは狂気に侵された保安官か、酒を酌み交わして一晩の宿を貸してくれた酒場の主人か、それとも一行を英雄と慕った少年か。命知らずの賞金稼ぎは今、善良な町民が放った一発の弾丸に倒れた。
 残されたリー、イワン、ジェームズは必死に馬を急かし、町を脱出した。
「どうして俺を助けたんですか?」
「俺は、この仕事が終わったら、賞金稼ぎからは足を洗ってまっとうに、普通に生きようと思ってたんだ。でもここであんたを見捨てたら、もう胸を張って生きることはできない気がした。」
「まぁ、2人も仲間を死なせているんじゃ、もうどっちの選択があってたんだかわかんねぇけどな。」
 荒野を二頭の馬が駆けていく。
セッションレポート | comments (0)

驚愕! 地球は狙われていた!! 

システム:クトゥルフの呼び声 GM:サンダビーダ

システム:クトゥルフの呼び声(七版)

四月三日に開催された新歓セッションのセッションレポートをお届けします。
今年四月分のブログ更新となりますが、交信が停止していた半年間のブログは随時更新される予定ですのでご期待ください。


CoC7版シナリオ『驚愕! 地球は狙われていた!!』
KP:サンダビーダ

【シナリオ概要】
某大学底辺オカルトサークルの四人のもとへ高校時代の友人「介良 甲児(けら こうじ)」からのタレコミがあった。最近、彼の地元にUFOや宇宙人が出るのだという。ある者は興味を惹かれ、ある者は旧交を温めるために、介良の待つ網羽生町へと赴く。

【探索者紹介】
 探索者は高校来の友人で、NPC「介良 甲児」と仲が良い。
探索者①:小鳥遊 ことり、ストーカー撃退読モ大学生(@新入生)
探索者②:生田 優一、とてもサイコパス蛇男(@ストライプ)
探索者③:山形 弘樹、のほほんカメラマン必殺仕事人(@百舌)
探索者④:式守 伊蔵、スーパーミリオタ運転手(@マソバソアソ)

【シナリオの導入】
 夏休みのとある日、仲良し五人組のLINEグループに介良から写真が届く。そこには「まさにUFO」と言わんばかりの未確認な飛行物体が映っていた。写真に詳しい小鳥遊や山形が調べるも合成かどうかはわからなかった。介良が続けて言うには、町の人間の多くが宇宙人を見たらしい。普段嘘なんて吐かない人もいたということで、探索者たちは真偽を確かめるために介良の地元「網羽生町」へと向かう。
 事前に調べたところ、町自体が有名ではないせいか、大した情報は見つからなかった。わずかな噂がささやかれているだけで、これを調べるには現地に行くしかなさそうである。
続きを読む>>
セッションレポート > クトゥルフの呼び声 | comments (0)

ゴブリンを倒す

システム ソード・ワールド2.5 GM:Y
PC紹介
マリマリ グラスランナー バード PL:へんでろぱ
クローネ ナイトメア   デーモンルーラー PL:spada
レイダー リルドラケン  ファイター PL:ぐるぐる眼鏡
ツクシ  メリア     コンジャラー PL:恵
カリン  人間      ソーサラー PL:七葉

RPG研究会で行ったセッションのレポートです。
頑張ってゴブリンを倒しに行くシナリオでした。
楽しかったです。
続きを読む>>
セッションレポート > ソード・ワールド | comments (0)

影や道陸神

システム:インセイン GM:モノ

10/3(土)に行われた新歓例会でのセッションレポートです。
PC紹介
PC1:船橋 健太郎 PL:マソバソアソ
いつも本を持ち歩いている眼鏡男子。お金持ちの家の子で、中学受験を控えている。よく外で遊ぶ仲間のブレイン役。
PC2:佐竹 了 PL:百舌
影のあるサッカー少年。共働きの両親はほとんど家におらず、幼少期は姉に育てられた。友人たちと遊んでいる間は寂しさが紛れる。
PC3:清水 実夕 PL:crowbar
町にある神社の娘。幽霊に自信があるらしく、怪談に詳しい。親のせいか時折言動が古い。
PC4:吉川 譲二 PL:T
町の交番の警察官。サボってパチンコをしていた夜に事件が起きたため、保身のために奔走する。

導入フェイズ
ある秋の夜、遅くまで遊んでいた小学生たちは「カゲヤドウロクジン」という声を聴く。
不思議に思ったものの、吉川に見とがめられひとまず解散することになる。
翌日、一緒に遊んでいた山口知佳が家に帰ってないことを知り、PCたちは協力して彼女を探すことに決めた。
続きを読む>>
セッションレポート | -

CENTER×CENTER

システム:インセイン GM:エイムさん(阪大)

PC紹介
PC1 佐藤 拓也  男 28 (PL:阪大Nさん)
若さに触れたいおじさん。
PC2 不知火 健一 男 18 (PL:モノ)
余裕ぶったインテリ。
PC3 赤井 和歌菜 女 18 (PL:阪大Yさん)
知りたがりな探偵少女。
PC4 園田 美香  女 18 (PL:ゆったん@)
明るい雑誌モデル。
PC5 西園寺 御弦 男 18 (PL:マソバソアソ)
傲慢な御曹司。

導入フェイズ
センター試験を受験するために同じ会場に集まったPCたちは中年の男に声を掛けられる。彼はベテランのセンター受験者トンパと名乗り、激励とともにPCたちにエナジードリンクを手渡した。
トンパと別れて席に着くと、妙に目つきの鋭い男が監督官を務めるという。違和感を覚えつつも、PCたちは第1科目である国語に挑むのだった。
そして訪れた休憩時間。受験生たちの周囲には黒い影がちらつき謎の気だるさを感じる……
続きを読む>>
セッションレポート | -

狂将校の行軍

システム:ソード・ワールド2.5 GM:tomita

阪大交流レポート

1/11の阪大交流二部に行われたSW2.5のセッションのレポートです。
※一部に暴力的な発言が含まれます。


・あらすじ
度々、町を襲う蛮族軍団「ダイラス狂軍」。そのリーダー、ダイラスはその残忍さから恐れられていた。PC達は彼の討伐を依頼される。


PC紹介
PC1:フレイア (ナイトメア/女/21歳) PL:阪大Yさん
ナイトメアの戦士。ナイトメアだったので迫害され、自分には生きている意味がないと思って自殺しようとしていたところをマリアに救われ、冒険者となった。


PC2:メイシア (人間/女/20歳) PL:阪大Kさん
人間の射手。蛮族によって故郷を滅ぼされ、両親と離れ離れになった。現在は3人の妹を養うため冒険者として働いている。


PC3:マリア (メリア(長命種)/女/66歳) PL:京大Cさん
見た目は25歳ぐらいの操霊術師。ある国の姫だったが人間と駆け落ちし、先に死なれてしまい、現在は国の追っ手から逃れるため、一人立ちするために冒険者をやっている。


PC4:アマリリス (ティエンス/女/12歳) PL:阪大Oさん
見た目は16歳ぐらいの騎手だが、コールドスリープ前の記憶はない。魔神を倒す騎士に憧れて冒険者になった。
「お願いします!私強くなります!魔神を倒せるように!」
続きを読む>>
セッションレポート > ソード・ワールド | -